営業を辞めたい人の転職先は3つ
上司の詰め、毎月ゼロに戻る数字、断られ続ける電話。もう限界で「営業 辞めたい 転職先」と打ち込んだ人に向けて書いています。
先に結論です。
- 営業を辞めたい人の転職先は、営業をやめる/商材と売り方を変える/会社だけ変えるの3つに分かれます
- どれを選ぶかは、好き嫌いではなく「自分が限界になった原因のどれが消えれば続けられるか」で決まります
- 選んだ先でその原因が消えそうかは、口コミではなく会社が公表している評価の決まり方で見当をつけます。月の平均残業と有給の取得率は、外していないかを見る手がかりです
この記事の根拠は次の2つです。
- 数字は、厚生労働省の調査・リクルートの発表・会社が公表している資料(職場情報総合サイト「しょくばらぼ」・採用ページ・求人票)だけ
- 僕自身が住宅営業から逃げるように転職して、一度外した話
まず、営業の何がいちばんつらい?
転職先を探す前に、限界の原因を1つに絞ります。ここが決まらないと、求人票のどこを見ればいいかが決まりません。
営業で限界になる原因は、だいたい次の4つに分かれます。
- 上司(詰められる・人格を否定される)
- 数字(毎月ゼロに戻る・未達が続く)
- 商材(売りにくい・自分が良いと思えない)
- 断られ続けること(飛び込みや電話で、断られる前提の売り方)
大事なのは「どれが嫌か」ではなく、どれが消えれば続けられるかです。ここで選んだ1つが、この先で見る求人票の欄を決めます。
原因を1行で書いてみる
見本(数字は例)
型: 『いちばんつらいのは〈場面〉。原因は〈上司/数字/商材/断られ続けること〉。これが消えれば〈続けられる/続けられない〉』
- 悪い例: 「とにかく営業が向いていない」
- 足りないもの: どの場面か、4つのどれか。これだと「営業以外ならどこでも」になり、求人票で見る欄が決まりません
- 良い例: 「いちばんつらいのは、月曜の会議で先月の未達を名指しで詰められること。原因は上司。目標の数字そのものは嫌いではない」
- 足したもの: 場面と、消えれば続けられる1つ。これなら「会社だけ変える」から見ればいい、と決まります
僕の1社目は住宅メーカーの個人営業でした。
- 個人営業を1年4か月
- 「お前に聞いてねえよ」と言われ、休みは火曜と水曜。詰められて心が折れた
- 逃げるように次を決めた。何が消えれば続けられるかは決めていなかった
いま思えば、上の悪い例と同じ形でした。
逃げるように転職すると、どうなる?
原因を絞らないまま決めると、条件は良くなっても年収が下がることがあります。僕がそうでした。
1社目で限界だったときの僕の決め方です。
- 探し方: doda とマイナビで「土日休み」に絞って求人を検索
- 移った先: 通信建設ベンチャーの法人営業
- 結果: 土日休みにはなったが、年収は大きく下がった
- 抜けていたこと: 何から逃げたいかは決まっていたのに、何が消えれば続けられるかを決めていなかった
転職して賃金が下がる人は、僕だけではありません。厚生労働省の調査で、2024年に転職した人の賃金は、前の職場と比べてこうでした。
| 2024年に転職した人 | 増えた | 減った | 変わらない |
|---|---|---|---|
| 全体 | 40.5% | 29.4% | 28.4% |
| 25〜29歳 | 46.3%(うち1割以上増えた37.9%) | 29.2%(うち1割以上減った17.6%) | ― |
| 30〜34歳 | 46.1% | 24.2% | ― |
年代を絞ると「増えた」は少し上がります。ただ、いずれも「転職した人」の中での割合で、転職すれば上がる、という数字ではありません。減った理由を測った数字でもないので、原因を絞らなかったから下がった、とは読めません。
だから何か。減った人がこれだけいる前提で、下がらない選び方をします。
見本(数字は例)
型: 『絞る条件は〈譲れない条件〉。応募する前に〈原因が消えるかが分かる欄〉を読む』
- 悪い例: 「土日休み」で絞って、条件が合った求人に応募する
- 足りないもの: 限界の原因が、その会社で消えるかを確かめる所がない
- 良い例: 「土日休み」で絞る。原因は上司の詰めなので、応募する前に採用ページで評価の決まり方(数字だけか、行動も見るか)を読む
- 足したもの: 応募の前に読む欄が1つ決まっている
僕はそのあと選び直しました。
- 人材メガベンチャーへ移り、新卒のダイレクトリクルーティングサービスを、新卒を採用したい企業に売っていた
- 新卒の人材紹介の新規開拓営業もしていて、求職者側と企業側の担当(CA・RA)と一緒に働いた。転職の仕組みを中から見てから、次を選んだ
- いまは上場 SaaS 企業でインサイドセールス。定時に退社して、土日休み
この遠回りの全体は『住宅営業で「心が折れた」僕が、年収580万+土日休みのSaaS転職で救われるまで』に書きました。
営業を辞めたい人の転職先は、大きく3つ
転職先は「どこまで変えるか」で3つに分かれます。
| 道 | 変えるもの | たとえば |
|---|---|---|
| 1. 営業をやめる | 職種 | カスタマーサクセスのように、売ったあとの支援をする職種 |
| 2. 商材と売り方を変える | 営業は続けて、顧客・商材・売り方 | 個人向けから法人向けへ、有形から無形へ、飛び込みから問い合わせ対応へ |
| 3. 会社だけ変える | 会社(職種も商材も同じ) | 環境の良い会社へ移る |
どれを選ぶかは、自分の原因が消えるかどうかで決めます。
- 原因が上司なら、3で足りることもある
- 原因が断られ続けることなら、2で消えることもある
- 原因が数字や上司の詰めなら、どの道でも、後半の「評価の決まり方」を読んでから決める
どれを選ぶ人が多いかは分かりませんし、多い道が自分に合うともかぎりません。
業種も職種も変えること自体は、珍しい選び方ではありません。リクルートエージェントの転職決定者では、業種も職種も変える「異業種×異職種」の転職がいちばん多いパターンで、2022年度は39.3%(過去最高)でした。
ただしこれは全職種・全年代の転職決定者の割合です。営業を辞めた人が上の3つのどれを選んだかを測った数字ではありません。
自分の道を1行で決める
見本(数字は例)
型: 『原因は〈4つのどれか〉。選ぶのは〈1/2/3〉。その道なら〈原因〉が消えるから』
- 悪い例: 「営業はもう嫌なので、1の営業をやめる」
- 足りないもの: 何が消えればいいのか。断られ続けることが原因なら、営業を続けたまま2でも消えるかもしれません
- 良い例: 「原因は断られ続けること。選ぶのは2。飛び込みから、問い合わせをした人に連絡する売り方へ変えれば消えるから」
- 足したもの: 原因と、その道で原因が消える理由
2の「売り方を変える」が具体的に何を指すのかは、『元住宅営業が衝撃を受けた。「インサイドセールス」と「テレアポ」の3つの違いを徹底解説』で比べています。
1の「営業をやめる」を考えている人へ
先に断っておくと、この記事で求人票の読み方まで書けるのは2と3です。
- 1は、移る先の職種ごとに必須要件が変わるので、ここでは確かめ方を書ききれません
- ただし後半で見る3つ(月の平均残業・年次有給休暇の取得率・評価の決まり方)は、職種が変わっても同じように使えます
- 入口もあります。カスタマーサクセスは、次の節で見るフリーでは営業組織の中に置かれている職種です。営業の求人を見ているページから、そのまま探せます
今の経験を活かせるのはどの道?
求人票の必須要件を読むと、2の「商材と売り方を変える」が、いまの営業経験を使える道です。ただし、いまの商材と売り方によって、そのまま応募できるか、一段はさむかが変わります。
応募条件は「すべて」か「いずれか」かを先に見る
実際の求人票はこう書かれています。
- kubell(旧 Chatwork) セールスのオープンポジション: 必須は「無形商材の法人営業経験」「新規開拓営業」。給与は応相談で、フレックス(メインタイム10:00〜16:00)
- マネーフォワード インサイドセールス: 必須要件は、無形商材の法人営業2年以上/インサイドセールス1年以上/マーケティング部門でデータをもとにした改善やセールスとの協業1年以上(営業経験は不要)のいずれか
2社とも「無形商材の法人営業」という語が出てきますが、要求の仕方が違います。
- kubell は、無形商材の法人営業経験と新規開拓営業がどちらも必須
- マネーフォワードは、3つのうちいずれか。3つ目は営業経験が要らない道
だから求人票では、必須要件の書き方を先に見てください。
見本(数字は例)
求人票の必須の欄は、こう読み分けます。
- 「必須: 法人営業の経験3年以上、新規開拓の経験」→ 2つすべて要る。1つでも欠けたら、いまは届かない
- 「必須(いずれか): 法人営業2年以上/インサイドセールス1年以上」→ 1つ通れればいい。自分が通れる行に印をつける
「いずれか」の中に、営業経験が要らない行が混じっていることもあります。
個人営業・販売からは2段で移る
いま個人向けの営業や接客販売をしている人は、kubell のように無形商材の法人営業経験が必須の求人には、いまは届きません。それでも2の道は閉じません。一度で届かないなら、2段で移る順番があります。
- まず法人向けに変える求人を探す(商材は有形のままでもかまいません)
- 法人営業の経験ができてから、無形商材の求人を見る
結果として、僕の経歴もこの順番になっています(1社目のあとは、計画して選んだわけではありません)。
- 住宅メーカーの個人営業から、まず通信建設ベンチャーの法人営業へ(年収は大きく下がった)
- 法人営業を経験したあと、人材メガベンチャーの法人営業へ
- 人材メガベンチャーでは、新卒のダイレクトリクルーティングサービスを、新卒を採用したい企業に売っていた
いま必須要件を満たせないことは、2を諦める理由にはなりません。
飛び込みがつらいなら、問い合わせに連絡する役割を見る
売り方のほうは、会社の営業組織の作りで分かります。
- フリー: マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセスの4つの機能が連携する分業。インサイドセールスは、問い合わせや無料体験をした見込み顧客に電話やメールでアプローチする役割
飛び込みで断られ続けることが限界の原因なら、この「問い合わせをした人に連絡する」側の役割が候補になります。分業そのものの仕組みを先に知りたい人は『【SaaS転職】営業なら知っておきたい「The Model(ザ・モデル)」の正体。分業制は本当に楽なのか?』を読んでください。
その会社で原因は消える?評価の決まり方を読む
原因に直接効くのは、評価の決まり方です。候補が出たら、口コミではなく、会社が自分で公表している次の3つを見ます。
- 月の平均残業
- 年次有給休暇の取得率
- 評価の決まり方
3つの役割は同じではありません。
- 上司の詰めや数字のつらさが消えそうかは、3の評価の決まり方で見当をつける
- 1と2は、限界の原因を消すものではない。働き方で外していないかを見る手がかり
残業と有給は「しょくばらぼ」で見る
1と2は、公表している会社なら、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で見られます。載っていない会社や項目もあります。下の表でも、3社は片方が「―」です。
公表している9社の値を並べると、幅があることが分かります。
| 会社 | 月の平均残業 | 年次有給休暇の取得率 |
|---|---|---|
| サイボウズ | 11.2時間 | 77.9%(2025年の実績) |
| 弥生 | 13.1時間(正社員) | 86.1%(正社員) |
| インフォマート | 正社員14.0時間/営業職16.5時間 | 66.0%(2024年4月〜2025年3月) |
| 弁護士ドットコム | 19.0時間(正社員と契約社員) | 61.1% |
| ビズリーチ | 19.0時間(正社員/職種ビジネス) | ― |
| カオナビ | 21.5時間(正社員) | ― |
| エス・エム・エス | 22.9時間(ビジネス職) | 86.0%(正社員・契約社員) |
| オービックビジネスコンサルタント | 23.1時間(正社員) | 73.4%(正社員) |
| フリー | ― | 69.3%(正社員) |
この表から分かること:
- この9社でも、月の平均残業は11.2時間の会社から23.1時間の会社まである
- 有給の取得率も61.1%から86.1%まで分かれる
- だから「業界で選ぶ」ではなく「会社で選ぶ」しかない
- インフォマートのように、正社員全体と営業職を分けて公表している会社もある。値の横の( )で、誰の値かを見る
1社ぶんは、次の型でメモすると比べやすくなります。
- 型: 『〈会社名〉: 残業〈 〉時間(誰の値か)・有給〈 〉%・評価〈数字だけ/行動や役割も〉』
- 埋めた例(サイボウズの公表値): 「サイボウズ: 残業11.2時間・有給77.9%(2025年の実績)・給与はチームから見た貢献度などを参考に、本人の希望とすり合わせて決める」
評価の決まり方は採用ページで読む
3つめの評価の決まり方は、各社の採用ページに書いてあります。数字だけで決まるのか、行動や役割も見るのかは会社ごとに違います。
- サイボウズ: 給与は「本人の希望」と「会社からのオファー」のすり合わせで決める。オファー金額は、チームから見た貢献度・社内需要・社外の給与相場を参考にする。大きな給与改定は年1回
- Sansan: 評価はミッショングレード制(期待されている役割に応じて等級を決める)
限界の原因が数字や上司の詰めなら、ここを読まないまま決めないでください。毎月の達成だけが評価になる会社と、行動や役割も評価に入る会社では、日曜の夜の気分が変わります。
採用ページに書いていないときは、面接の逆質問で聞けます。
見本(数字は例)
- 悪い例: 「評価制度について教えてください」
- 足りないもの: 何を知りたいかが伝わらず、制度の名前だけが返ってきやすい
- 良い例: 「営業の評価は、月の達成率だけで決まりますか。行動や役割も評価に入りますか」
- 足したもの: 自分の原因(数字の詰め)が、その会社で消えるかを判定できる問い
働く場所の条件も公表されている
- Sansan: リモートワークはできるが、週3回以上の出社が原則。フレックスは開発関連の職種に導入(ほかの職種は子育て・介護のための時短やフレックスの選択肢)。1時間単位の有給休暇がある
- kubell: ハイブリッドワークだが、週3日程度はオフィス出社
- マネーフォワード: 原則 週2出社
求人票の年収の横で、何を見る?
固定残業代(みなし残業)の書き方を見ます。固定残業代を採用する会社は、募集要項や求人票に次の3つすべてを明示することになっています。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
- 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働には割増賃金を追加で支払う旨
なぜここを見るのか。
- ハローワークに寄せられる「求人票と実際の条件が違う」という申出・苦情でいちばん多いのは、賃金(固定残業代を含む)に関すること
- ここを読み飛ばすと、年収が上がったのに働き方が変わらない、という外し方をする
- 3つ揃っていない求人票は、面接でそこを質問する材料にできる
見本(数字は例)
- 悪い例: 「月給30万円(固定残業代を含む)」
- 足りないもの: 基本給の額、何時間分か、超えた分を払うか。3つとも書いていない
- 良い例: 「月給30万円(基本給24万円+固定残業代6万円・月30時間分。30時間を超えた時間外労働は追加で支給)」
- 足したもの: 3つ全部。基本給と、月給に含まれている残業の量が分かる
実際の求人票でも、たとえばマネーフォワードのインサイドセールスの給与は、月45時間相当分の時間外手当と深夜40時間分の固定手当を含むと書かれています。同じ「年収◯万円」でも、その中に含まれている残業の量は会社ごとに違います。
求人票の年収レンジと固定残業を会社ごとに並べたものは『SaaS営業の年収は本当に高い?上場14社を並べてわかったこと』にまとめています。
今日からやること
今日のうちに1つだけやってください。開いたままになっている求人1枚を、次の3つと突き合わせます。
- 自分の限界の原因(上司/数字/商材/断られ続けること)— この求人で、それが消えそうか(評価の決まり方を読む)
- その会社の公表値 — 「しょくばらぼ」で月の平均残業と年次有給休暇の取得率を見て、働き方で外していないかを確かめる。載っていなければ、面接の逆質問で聞く
- 求人票の2か所 — 固定残業代の3つが書いてあるか、必須要件が「すべて要る」のか「いずれか1つ」なのか(「いずれか」なら、自分が通れる1つがあるか)
書き終えたメモは、こんな形になります。
見本(数字は例)
- 求人: ◯◯社 インサイドセールス
- 原因(上司の詰め)は消えそうか → 評価は役割も見る。月の達成だけではない → 消えそう
- 公表値 → 残業18時間(正社員)・有給80%
- 求人票 → 固定残業代は基本給と時間数はあるが、超えた分の記載なし → 面接で聞く/必須は「いずれか」→ 法人営業の行に当てはまる
1枚なら10分ほどで終わります。2枚目からは速くなります。
ここで「原因が消えない求人」を1枚捨てられれば、逃げるように決めるのを一度止められます。
求人を自分で探す所で手が止まるなら、相談先も決めておくと早いです。エージェント選びで迷っている人は『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、自分に合う相談先の選び方をまとめています。
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出典
- 転職した人の賃金の増減: 厚生労働省 雇用動向調査の結果の概要
- 異業種×異職種の割合: リクルートの発表(2023年11月29日)
- 固定残業代の明示とハローワークへの申出・苦情: 厚生労働省 求人・募集に関する資料
- 月の平均残業・年次有給休暇の取得率: 各社が公表する 職場情報総合サイト「しょくばらぼ」(2026年9月に確認)
- 評価・営業組織・求人票: サイボウズ(給与の決め方)/Sansan(中途採用のFAQ)/フリー(営業の職種紹介)/kubell(求人)/マネーフォワード(求人)
- マーキャリNEXT CAREER の記述: 公式ページ/トップ(2026年9月23日に確認)
