営業・接客職の転職対策
辞めると決めたのに、求人サイトと職務経歴書のファイルを行ったり来たりして、手が止まっていませんか。
先に結論です。
- 転職活動は「経験の整理 → 求人票 → 書類 → 応募 → 面接 → 条件 → 退職」の7段で進みます
- 営業・接客の経験は、求人票の応募資格に当てはめて書くと伝わります
- 辞める前に始めて、何社かを並べて応募します
根拠は、マイナビとハローワークが公表している調査・資料です。そこに、僕が3回転職して、1回目で外したときの反省を足しています。
転職活動は何から始める?全体の7段
最初の1手は、いまの自分がどの段にいるかを決めることです。段が分かれば、今日やることは1つに絞れます。
| 段 | やること | その段で今日やる1手 |
|---|---|---|
| 1. 経験の整理 | 営業・接客でやってきたことを書き出す | 扱った商材・お客さん・出した数字を書き出す |
| 2. 求人票を読む | 応募資格と仕事内容を見る | 気になる求人を1件開き、応募資格を書き写す |
| 3. 書類 | 職務経歴書を応募先に合わせる | 応募資格に当たる経験を1つ、職務経歴書に足す |
| 4. 応募 | 何社かを並べて出す | 2段目と同じやり方で書き写した求人を数件並べ、応募する数社を選ぶ |
| 5. 面接 | 書類に書いたことを話せるようにする | 職務経歴書から聞かれそうなことを書き出す |
| 6. 条件 | 内定の条件を確かめる | 求人票と、提示された条件を見比べる |
| 7. 退職 | 内定の後に、いまの会社へ伝える | 就業規則で退職の決まりを確かめる |
求人サイトを眺めている段階なら1〜2段目、書類で落ちているなら3段目です。
僕は1社目で限界だったとき、doda とマイナビで「土日休み」に絞って探しました。逃げるように決めて、年収が大きく下がりました。次は外さないために、段を飛ばさない順番をまとめたのがこの記事です。
営業・接客の経験はどう書けば伝わる?
同じ実績でも、「何を・誰に・どこまで・いつ・どれだけ」を足すだけで伝わり方が変わります。そのうえで、求人票の応募資格の言葉に合わせて並べます。この柱の記事は、全部この考え方でできています。
ハローワークの資料では、職務経歴書は採用担当者に自分の実務能力をアピールするものです。2025年の人事担当者1,357人の調査では、応募者に求めるもので最も多いのが「同様『職種』の経験年数」(86.8%)で、求めている1,178人のうち57.6%が「求めていたレベルに満たない場合は採用しないことが多かった」と答えています。
「担当しました」だけでは、どのレベルでできる人なのかが読めません。営業と接客の見本で、同じ実績が書き方でどれだけ変わるかを見てください。
真似する型はこれだけ
〈商材〉を〈顧客〉に、〈工程〉を担当。〈期間〉で〈実績〉(〈基準〉)
- 商材: 何を売ったか・扱ったか
- 顧客: 誰に(業種・会社の規模・来店するお客さまの層)
- 工程: 自分がやった所(見込み客を探す・提案・契約・契約後のフォローなど)
- 期間: いつからいつまで、何か月で
- 実績: 件数・金額・順位など、数えられるもの
- 基準: その数字が良いと分かる比べ先(目標・部署内の順位・前年・ほかの店舗)
下の良い例は、どちらもこの型を埋めただけです。
営業の見本
見本(数字は例): 20代・法人営業3年目。自分の数字はうろ覚え、という人のモデルです。
悪い例
担当エリアの新規開拓を担当。目標達成に貢献。
足りないもの: 何を誰に売ったのか、どこまで自分でやったのか、「目標達成」がどのくらいなのかが読めません。
良い例
業務用の複合機と通信回線を、都内の従業員50名以下の会社に販売。新規開拓のリスト作成・電話でのアポイント・訪問・提案・契約までを1人で担当。2024年度の1年間で新規42社と契約(月3社の目標を12か月中10か月で達成。営業部8人中2位)。
足したもの: 商材(複合機と通信回線)・顧客(都内の小さな会社)・工程(リスト作成から契約まで)・期間(2024年度)・実績と基準(42社・目標を達成した月数・部内の順位)。
数字がうろ覚えなら、社内の成績表や日報を見られるうちに確かめます。見られないときは「新規約40社」のように「約」を付けて書き、面接で聞かれたら概数だと言えるようにしておきます。部内の順位が分からなければ、「月3社の目標を何か月達成したか」のように目標と比べて書けます。
接客(販売)の見本
見本(数字は例): 20代・携帯電話ショップの販売4年。個人の販売数は記録に残っていない、という人のモデルです。
悪い例
接客・レジ・在庫管理を担当。店舗の売上に貢献。
足りないもの: どの店で働いた人でも書ける仕事の名前だけで、どんな店で、どんなお客さまに、何ができる人なのかが読めません。
良い例
スマートフォンと料金プランを、携帯電話ショップ(スタッフ10名・来店は1日約60組)の来店のお客さまに販売。受付・使い方の聞き取り・プランの提案・契約手続きまでを1人で担当し、レジ締めと端末の在庫管理も任される。2024年度は店舗の新規契約数が地域12店舗中3位。入社3年目から新人3名の指導を担当。
足したもの: 商材(スマホと料金プラン)・顧客(来店のお客さま)・工程(受付から契約手続きまで)・期間(2024年度・入社3年目から)・実績と基準(地域12店舗中3位・指導した人数)。
個人の数字が無いときは、店の規模(スタッフ数・来店数)と店舗の順位、任された役割で「どのくらいの現場で何を任されていたか」を見せます。アパレルなら、商材は服、実績は店舗の売上の前年比や、担当した売り場の広さに置き換えられます。
書けたら求人票と見比べる
最後に、求人票の応募資格と見比べて並べ替えます。応募資格に「新規開拓の経験」とあれば工程の最初に新規開拓を置き、「顧客との折衝経験」とあれば、断られた・怒られた場面でどう話を戻したかを1行足します。書く中身は同じで、相手の知りたい順に並べるだけです。
書類で落ち続けている人は、『書類選考が通らない20代の営業が、まず見直す求人票の読み方』に、求人票の読み方から直す手順をまとめています。
何社に応募すれば内定が出る?
何社出せば内定、という決まった数はありません。目安として、マイナビ転職の調査では、転職した20代男性は平均18.2件応募して、内定は3.3件でした。この数だけ応募すれば内定が出る、という数字ではありません。
| 転職した人 | 応募 | 書類通過(通過率) | 内定(応募から見た内定率) |
|---|---|---|---|
| 全体 | 13.6件 | 5.1件(37.3%) | 2.3件(17.0%) |
| 20代男性 | 18.2件 | 6.6件(36.0%) | 3.3件(17.9%) |
| 30代男性 | 13.7件 | 5.8件(42.4%) | 1.8件(13.1%) |
表は、転職を終えた人の平均です。転職した人でも書類で落ちる応募のほうが多い、ということは読み取れます。1社ずつ結果を待つより、並べて出すほうが時間を失いません。
経験者採用では、選考基準を厳しくした企業のほうが多くなっています。2025年の人事担当者の調査(前年と比べられる1,338人)では、経験者採用の選考基準を「前年より厳しくした(計)」企業は44.7%で、「甘くした(計)」の8.6%を大きく上回っています。未経験者採用で「厳しくした(計)」企業は34.1%です。
辞めてから探す?働きながら探す?
働きながら始めるのをすすめます。辞めてから探すと、決まるまでの期間がそのまま離職期間になるからです。
2025年の人事担当者1,500人の調査では、ブランク期間(離職期間)を気にする人は78.9%で、気になる期間の平均は12.7ヶ月でした。数か月の空白ですぐ不利になるとは限りません。ただ、辞めてから何か月で決まるかは、始める前には読めません。
いまの会社にいるうちに1〜6段目を進め、7段目の退職は内定の後にします。
面接では何を聞かれる?
聞かれるのは、主に職務経歴書に書いたことです。ハローワークの資料でも、面接は職務経歴書の内容に基づいて質問されることが多いので、質問と答え方を想定しながら書くよう勧めています。
選考全体で重視されている所も、調査に出ています。2025年の人事担当者1,500人に、中途採用の選考時に重視している要素を聞いた調査で、能力的特性では「これまでの経歴における成績や業績などの高さ」を重視している人が91.5%で、もっとも高い割合でした。気質的特性では「主体性」94.4%・「傾聴力」94.1%が上位です。
営業・接客の人なら、数字で言える実績を1つと、お客さんの話を聞いて動いた場面を1つ用意しておくと、面接の芯になります。
よく聞かれる質問と答えの作り方は、『営業の転職面接でよく聞かれる4つの質問』にまとめています。
営業を続ける人と、職種を変える人で何が変わる?
書類で見せる中身が変わります。2025年の人事担当者の調査で、前年より選考基準を厳しくした企業が厳しくした項目のトップは、経験者採用で「職務経験」、未経験者採用で「仕事に対する考え方」でした。
| 営業を続ける(経験者採用) | 職種を変える(未経験者採用) | |
|---|---|---|
| 選考基準を厳しくした項目のトップ | 「職務経験」36.8% | 「仕事に対する考え方」35.1% |
| 続く項目 | 「仕事に対する考え方」「コミュニケーション力」「志望動機」「仕事の成果」 | 「コミュニケーション力」「転職理由」「ポテンシャル」 |
2025年・選考基準を前年より厳しくしたと答えた企業ベースの複数回答です。甘くした企業が甘くした項目のトップも、経験者採用では「職務経験」44.3%でした。厳しくするときも甘くするときも、企業が一番に動かす項目が職務経験です。それだけ見られている所だということです。
営業を続ける人は、同じ職種の経験を具体的に書きます。応募者に求めるもので最も多いのが「同様『職種』の経験年数」(86.8%)だったのは、上で見たとおりです。ハローワークの資料でも、同じ職種への転職なら、前職の職務内容・実績・身につけた知識や能力を具体的に書いて、即戦力であることを伝えるとしています。
僕は人材会社の法人営業で、新卒の人材紹介の新規開拓もしていて、求職者の相談に乗る側(CA)と企業側の担当(RA)と一緒に働いていました。営業のまま会社を変える人で、転職エージェント選びに迷っている人は、『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、自分に合う相談先の選び方をまとめています。
職種を変える人は、職務経歴で勝負しにくい分、ほかの面から見せます。ハローワークの資料が挙げているのは次の6つです。
- 応募職種と関連するアルバイト経験
- 訓練・研修の経験
- 現在勉強中の分野
- 自分の性格・行動特性(積極性・粘り強さ・協調性・責任感など)
- 仕事への姿勢・意欲
- 将来目標・将来の可能性
営業・接客から移りやすい職種を先に知りたい人は、『未経験転職でおすすめの職種は?』から見てください。
段ごとの記事一覧
② 書類
- 営業の転職の職務経歴書はどう書く?見本と穴埋めの型
- 営業の職務経歴書の実績欄は、数字を覚えていない・未達でも書ける
- 未経験転職の職務経歴書は何を書く?営業・接客からの見本つき
- 書類選考が通らない20代の営業が、まず見直す求人票の読み方
③ 志望動機・転職理由・自己PR
⑤ 面接
⑦ 退職と入社
記事がまだ並んでいない段は、上の表の「今日やる1手」から始めてください。
今日からやること
- 上の7段の表で、いまの自分の段を1つ決める
- 気になる求人を1件開き、応募資格を書き写す。その下に、当てはまる自分の経験を1行ずつ書く
- その段の記事を1本読んで、表の「今日やる1手」を終わらせる
僕は1回目で外しましたが、3回目の転職で年収が上がり、定時に帰れるようになりました。次を外さないための準備は、今日の2番から始められます。
