営業の職務経歴書の実績欄は、数字を覚えていない・未達でも書ける
職務経歴書を開いたものの、「実績」の欄で手が止まっている営業・販売の人へ。 達成率も件数も覚えていない、未達の期が多かった、商材が弱くて数字が残らなかった。それでも実績欄は埋まります。
- 実績欄は「すごさ」を見せる欄ではなく、応募先の求人票の必須要件に当てはまることを見せる欄
- SaaS・IT の会社の営業職の求人票7件の必須要件は〈無形商材か/法人か/新規開拓か/年数〉の4語にほぼ収まる。達成率が無くても、商材・顧客・工程・期間で書ける
- 経験も数字も足りないときは、ハローワークの資料が挙げる6つの面から書ける
根拠は、ハローワークの応募書類の資料と、SaaS・IT の会社の営業職の求人票7件の必須要件(どちらも2026-09-22に確認)です。 この記事では、架空の見本を使って「悪い例」と「良い例」を並べます。
この記事の見本(数字は例・架空の人)
- 営業の見本: 20代後半。複合機のリースを中小企業に売る法人営業を3年。達成率は覚えていない。未達の期もあった
- 販売の見本: 20代後半。アパレルの店舗で販売を4年。売上は店の数字で、個人の数字は残っていない
実績欄には何を書けばいい?
応募先の求人票が求めている経験に、自分が当てはまることを書きます。 ハローワークの資料が職務経歴書について挙げているのは、次のとおりです。
- 目的: 採用担当者に自分の実務能力をアピールすること
- 中身: 応募先企業の知りたいこと・求めていることに応じて書く
- 分量: A4縦1〜2枚程度
- 必須の欄: 標題・氏名・日付・職務経歴。活かせる能力・自己PR・志望動機などは自分で選んで足す
- 同じ職種への転職なら: 前職の職務内容・実績・身につけた知識や能力を具体的に書き、即戦力であることを伝える
つまり実績欄の相手は「営業成績の順位表」ではなく、応募先の求人票です。 同じ経歴でも、どちらに向けて書くかで中身が変わります。
見本(数字は例): 営業の見本の実績欄の1行目
- 悪い例: 営業成績は部署で中位。表彰歴なし
- 足りないもの: 順位表に向けて書いていて、求人票が聞いていること(法人か・新規か・年数)に答えていない
- 良い例: 複合機のリース(有形の商材)を、中小企業(法人)に新規で提案する営業を3年担当
- 足したもの: 法人・新規・年数。経歴そのものは悪い例と同じ
自分で足す項目のうち志望動機の書き方を知りたい人は、『SaaS営業の志望動機はこう書く!元人材営業が教える「通過する書き方」と例文3パターン』にまとめています。
応募先は実績欄の何を見ている?
応募先が求人票の必須要件に書いている言葉は、7件では4つにほぼ収まります。 SaaS・IT の会社の中途の営業職の求人票7件(2026-09-22にこのサイトが選んだもの)の必須要件を、書かれている言葉のまま並べました。
| 会社・職種 | 必須要件(求人票の記載) | 無形商材 | 法人 | 新規開拓 | 年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| Sansan・ソリューションセールス | 法人営業の経験3年以上 | ○ | ○ | ||
| マネーフォワード・インサイドセールス | 無形商材の法人営業2年以上/インサイドセールス1年以上/マーケティング部門の経験1年以上(営業経験は不要)のいずれか | △ | △ | ○ | |
| kubell・セールス(Chatwork) | 無形商材の法人営業経験・新規開拓営業 | ○ | ○ | ○ | |
| PR TIMES・法人営業・マーケティング | 無形商材の法人営業経験2年以上 | ○ | ○ | ○ | |
| サイボウズ・営業(東京) | 「法人営業2年以上かつ大手企業向けの組織攻略営業の経験」「代理店営業3年以上」などのいずれか | △ | ○ | ||
| ユーザベース・NewsPicks のインサイドセールス | 無形商材の法人営業(インサイドセールスかフィールドセールス)の経験 | ○ | ○ | ||
| ビズリーチ・セールスオープンポジション | 営業経験1年以上 か、社会人経験1年以上(セールスへキャリアチェンジしたい方) | ○ |
△は「いずれか」の道の一つとして書かれているもので、その経験が無くても別の道で応募できます。
並べて分かることは4つです。
- 問われている言葉は〈無形商材か/法人か/新規開拓か/年数〉にほぼ収まる
- 多いのは法人と年数
- 新規開拓を必須にしていたのは kubell だけ。4語が全部そろわないと応募できない、という意味ではない
- 必須要件の文言には、達成率も順位も表彰も出てこない
自分の経歴を4語で書き出す
まず、いまの仕事を4語で書き出します。これが実績欄の骨組みになります。
- 商材: 形のある物か(有形)、サービスや仕組みか(無形)
- 顧客: 会社相手(法人)か、個人か
- 新規か既存か: 新しい相手を開拓していたか、既存の相手を担当していたか
- 年数: その仕事を何年何か月していたか
僕の経歴で書き出すと、こうなります。
- 新卒の住宅メーカー: 有形・個人
- 人材メガベンチャー: 新卒のダイレクトリクルーティングサービスを企業に売っていたので、無形・法人
見本(数字は例): 見本の2人を4語にすると
- 営業の見本: 有形(複合機)・法人(中小企業)・新規・3年 → Sansan の「法人営業の経験3年以上」と重なる
- 販売の見本: 有形(服)・個人(来店のお客様)・来店客の接客・4年 → ビズリーチの「社会人経験1年以上(セールスへキャリアチェンジしたい方)」と重なる
同じ「営業」でも、4語にすると求人票とどこが重なるかが一目で分かります。
数字を覚えていないときは何を書けばいい?
達成率の代わりに、商材・顧客・件数・工程・期間を書きます。 どれも、達成率を覚えていなくても書けるものです。
- 商材: 何を売っていたか(有形か無形か)
- 顧客: 誰に売っていたか(法人か個人か・業種・相手の規模)
- 件数: 担当していた顧客の数など、確かめられるもの
- 工程: リスト作り・アポ・商談・クロージング・フォローのどこを持っていたか
- 期間: その担当を何年何か月していたか
覚えていない数字は、書かないのが正解です。 面接は職務経歴書の内容に基づいて質問されることが多い(ハローワークの資料)ので、根拠を聞かれて答えられないと、ほかの行まで疑われます。
数字を入れたいなら、見返して確かめられる所から拾います。
- 日報
- 社内の管理画面
- 自分のメール
見本(数字は例): 販売の見本(個人の数字が残っていない人)
- 穴埋めの型: 〈商材〉を〈顧客〉に販売(〈期間〉)。〈工程〉まで担当。〈確かめられる数字〉
- 悪い例: 店舗での販売業務に従事。売上目標の達成に貢献
- 足りないもの: 何を・誰に・どこまで担当したかが無い。「貢献」は確かめられない
- 良い例: レディースのアパレル(有形の商材)を、来店した個人のお客様に販売(4年)。声かけから試着の提案、会計、顧客台帳への登録、セールの案内まで担当。スタッフ6人の店舗で、2年目から新人の教育係
- 足したもの: 商材・顧客・工程・期間と、店の記録で確かめられる人数。個人の売上は書いていない
未達だった期はどう書く?
未達の数字を盛らずに、「何を任され、どの工程を持ち、どこまで行ったか」を書きます。 嘘をつかなくても、実績欄は埋まります。
- ハローワークの資料が必須にしているのは、標題・氏名・日付・職務経歴の4つの欄。達成率を書け、という指定は無い
- 一方で、同じ職種への転職なら実績を「具体的に」書くとある。具体的にするのは、確かめられる事実で
書き方の型はこうです(◯の所に自分の事実を入れます)。
- 任されたこと: ◯◯(商材)を、◯◯(法人/個人)に売る営業。担当は◯◯(新規/既存)
- 持っていた工程: ◯◯から◯◯まで(例: アポ取りから商談まで)
- どこまで行ったか: ◯◯の段階まで進めた相手が◯件(確かめられる数字だけ)
見本(数字は例): 営業の見本(未達の期があった人)
- 悪い例: 目標達成に向けて日々努力し、粘り強く新規開拓に取り組んだ
- 足りないもの: 頑張ったことは伝わるが、何を任され、どこまでやったかが無い
- 良い例:
- 任されたこと: 複合機のリースを、中小企業に売る営業。担当は新規開拓
- 持っていた工程: テレアポから初回の商談、見積もりの提出まで
- どこまで行ったか: 半年で商談まで進めた相手が30社(日報で確かめられる数)
- 足したもの: 担当・工程と、日報で確かめられる件数。達成率は書いていない
「目標に届かなかった」は、聞かれたら面接で正直に話せば足ります。 書類で伝えるのは、応募先の必須要件と重なる「任されたこと」と「工程」です。
商材が弱くて数字が残らなかったら?
売れなかった理由ではなく、自分が持っていた工程の言葉で書きます。 工程は、商材の強さと関係なく書けるからです。
僕は人材メガベンチャーで、営業を工程で見ることを覚えました。 リスト作り・アポ・商談・クロージング・フォローのどこを自分が持っていたかで、書き方を置き換えます。
| いまの書き方 | 工程の言葉に置き換えた書き方 |
|---|---|
| 飛び込み営業で根性を見せた | 新規開拓:飛び込みで訪問し、アポ取りから商談まで担当 |
| お客さんと仲良くなって契約をもらった | 商談:ヒアリングで顧客の課題を聞き、提案からクロージングまで担当 |
| ルート営業で御用聞きをした | 既存顧客の担当:定期訪問で要望を聞き、追加の提案とフォローを担当 |
置き換えるときは盛らないこと。やっていない工程は書きません。
工程ごとに役割を分ける営業の組み方を詳しく知りたい人は、『【SaaS転職】営業なら知っておきたい「The Model(ザ・モデル)」の正体。分業制は本当に楽なのか?』を読んでください。
書ける実績が本当に無いときは?
ハローワークの資料が挙げる6つの面から、「活かせる能力」や「自己PR」の欄に書きます。 職務経歴や資格が無く、実務能力に自信が無い場合でもアピールできる面として挙げられているものです。
- 応募職種と関連するアルバイト経験
- 訓練・研修の経験
- 現在勉強中の分野
- 自分の性格・行動特性(積極性・粘り強さ・協調性・責任感など)
- 仕事への姿勢・意欲
- 将来目標・将来の可能性
書く先は実績欄ではありません。実績欄に性格や意欲を並べると、職務経歴の中身が薄く見えます。
営業や販売の人なら、入社時に受けた研修(2)や、断られても続けた粘り強さ(4)は、そのまま行動の事実として書けます。
見本(数字は例): 販売の見本の自己PR
- 悪い例: 粘り強い性格で、何事も最後までやり抜きます
- 足りないもの: 形容詞だけで、何をしたかが無い
- 良い例: 入社時の接客研修のあと、店頭での声かけを毎日続け、2年目から新人の教育係を任された
- 足したもの: 何を・どのくらいの期間続けたか(6つの面の2と4を、行動の事実で書いた)
個人営業や販売の人は、表の求人票の多くが「法人」を必須にしている点に注意してください。 表の中では、ビズリーチのセールスオープンポジションが「営業経験1年以上 か、社会人経験1年以上」を必須にしていて、法人を条件にしていません。
職務要約はどう書けばいい?
4語を3行に並べれば書けます。3行目だけ、応募先ごとに書き換えます。
◯◯(有形/無形の商材)を、◯◯(法人/個人)に売る営業を◯年◯か月担当。
◯◯(新規開拓/既存顧客)を中心に、◯◯から◯◯までの工程を持つ。
応募先の必須要件「◯◯」に対応する経験として、◯◯。
僕の経歴で、1社目と3社目それぞれの1行目を埋めると、こうなります。
1社目:住宅(有形の商材)を、個人のお客様に売る営業を1年4か月担当。
3社目:新卒のダイレクトリクルーティングサービス(無形の商材)を、新卒を採用したい企業(法人)に売る営業を担当。
3社目の行のように無形・法人の経験があれば、表の求人票の多くと重なる所を先頭に置けます。 期間は、自分の年数をそのまま入れてください。
見本(数字は例): 見本の2人の職務要約
営業の見本(応募先: Sansan のソリューションセールス)
- 複合機のリース(有形の商材)を、中小企業(法人)に売る営業を3年担当。
- 新規開拓を中心に、テレアポから初回の商談、見積もりの提出までの工程を持つ。
- 応募先の必須要件「法人営業の経験3年以上」に対応する経験として、法人の新規開拓を3年。
販売の見本(応募先: ビズリーチのセールスオープンポジション)
- アパレル(有形の商材)を、来店した個人のお客様に売る販売を4年担当。
- 来店のお客様を中心に、声かけから試着の提案、会計、顧客台帳への登録までの工程を持つ。
- 応募先の必須要件「社会人経験1年以上(セールスへキャリアチェンジしたい方)」に対応する経験として、お客様と直接話す仕事を4年。
3行目は、求人票の必須要件の言葉をそのまま使うのがコツです。
書いたあとに確かめること
面接で聞かれる前提で読み返します。ハローワークが面接の準備として挙げているもののうち、書類に関わるのは次の2つです。
- 履歴書・職務経歴書の内容と、面接での受け答えが食い違わないようにする
- 応募先の求人票のコピーを持っていく
読み返すときは、自分にこう聞いてください。
- この数字の出どころ(日報・管理画面・メール)を言えるか
- やっていない工程を書いていないか
- 3行目の言葉は、応募先の求人票の必須要件と同じか
面接で聞かれる質問と、求人票から答えを作る手順は、『営業の転職面接でよく聞かれる4つの質問と答え方』にまとめています。
今日からやること
今日やるのは、職務要約3行と実績欄を、応募先の必須要件に1行ずつ対応させて書き直すことです。
- 応募したい求人票を1枚開き、必須要件を〈無形商材か/法人か/新規開拓か/年数〉で書き出す
- 自分の経歴を同じ4語で書き出し、重なる所を職務要約の3行目に入れる
- 書いた数字と工程を読み返し、面接で聞かれても答えられないものは消す
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