営業の転職、志望動機はどう書く?「なぜこの会社」に詰まらない3段の型
志望動機を書こうとすると「成長業界だから」「理念に共感したから」しか出てこない。面接で「なぜうちなんですか?」と聞かれると詰まる。そんな営業・販売の人に向けた記事です。
先に結論です。
- 志望動機は 「①前の仕事で面白かった/物足りなかった所 → ②それを仕事の中心にできるのが応募先のこの職種 → ③入社後に最初にやること」 の3段で書く
- 転職理由と1本の線にする。別々に作ると、面接で続けて聞かれたときに崩れる
- 「なぜこの業界」と「なぜこの会社」は別の問い。会社は、求人票を並べて違った所で答える
根拠は、採用担当者2,000人への調査(doda)と、ハローワークの応募書類の資料です。僕は営業で4社・転職3回。2社目ではチームリーダーとして面接も担当し、人材会社では採用する側の企業に営業していました。
志望動機で落ちるのはどんな書き方?
落ちやすいのは「どの会社にも出せる文」です。よくあるのは次の3つの型です。
見本(よくある書き方の例)
| 型 | よくある文 | 何が足りないか |
|---|---|---|
| 業界の話だけ | 「IT業界は今後も伸びる市場なので、成長できると考えました」 | 同じ業界の会社なら全部に出せる。あなたの話が無い |
| 条件がにじむ | 「土日休みで、年収も上がる御社で長く働きたいと考えました」 | 採用担当には「条件が良ければ他社でもいい」と読める |
| 理念に共感だけ | 「御社の理念に共感し、志望いたしました」 | 理念の何に、自分のどの経験から共感したかが無い |
自分の下書きを横に置いて、次で点検してください。
- 主語が「業界」「市場」だけの文しか無い → 業界の話だけ
- 理由の中に「休み」「年収」「残業」が入っている → 条件がにじむ(条件は面接の後半か、エージェント経由で確かめる)
- 「共感」の後ろに、自分の経験が1つも書いていない → 理念に共感だけ
1つでも当てはまるなら、次の3段で組み直します。
志望動機は何から書けばいい?
書き始めは「応募先の良い所」ではなく、いまの仕事で面白かった所か、物足りなかった所からです。そこから応募先の仕事へ線を引きます。
見本(穴埋めの型)
①いまの仕事では〈面白かった所/物足りなかった所〉。 ②〈応募先〉の〈職種〉は、求人票に〈仕事内容の1行〉とあり、それを仕事の中心にできると考えました。 ③入社後はまず〈最初にやること〉から始めたいです。
段ごとに書くことと、書かないことです。
- ①前の仕事: 起きたことを1つだけ。「やりがいがなかった」でなく「契約の後のお客さまに関われなかった」のように場面で書く
- ②応募先のこの職種: 求人票の仕事内容か必須の欄から1行を引く。業界の話はここに入れない
- ③最初にやること: 意欲だけでなく、入って最初の動きを書く。「商材とよく聞かれる質問を覚える」など
未経験の職種に移るときは、③の材料が足りないと感じるはずです。ハローワークの資料は、職務経歴や資格が無くても次の面からアピールできるとしています。
- (a)応募職種と関連するアルバイト経験 (b)訓練・研修の経験 (c)現在勉強中の分野
- (d)自分の性格・行動特性(積極性・粘り強さ・協調性・責任感など)
- (e)仕事への姿勢・意欲 (f)将来目標・将来の可能性
3段の③には「現在勉強中の分野」や「将来目標」を入れると、意欲が行動に変わって読めます。
転職理由とはどうつなげる?
転職理由の「物足りなかった所」を、志望動機の①にそのまま使います。 転職理由も志望動機も、それぞれ4割強の採用担当者が重要と答えているからです。
dodaの調査では、採用担当者が「重要と思う内容」と「最も重視する内容」で、転職理由と志望動機の順位が入れ替わります。
| 項目 | 重要と思う内容(複数選択) | 最も重視する内容(ひとつだけ) |
|---|---|---|
| 受け答えの仕方 | 51.1% | 9.9% |
| 誠実さ・素直さ | 47.4% | 9.0% |
| 経験 | 44.0% | — |
| 転職理由 | 43.9% | 5.8% |
| 志望動機 | 43.1% | 7.3% |
(表は抜粋。2025年9月・中途採用の選考に関与する22〜59歳の企業の採用担当者2,000人・インターネット調査)
- 「志望動機・転職理由」の中で、複数選択では転職理由43.9%が最多、志望動機43.1%が僅差で続く
- ひとつだけ選ぶと、志望動機7.3%が転職理由5.8%を上回る。ただし全体でいちばん多いのは「受け答えの仕方」9.9%
だから、どちらか片方だけ整えても足りません。2つが1本の線になっていて、面接で続けて聞かれても同じ話になることが大事です。
見本(線が切れている例と、つながっている例)
- 悪い例: 転職理由「ノルマがきつかった」→ 志望動機「御社の理念に共感した」
- 何が足りないか: 2つの間に関係が無い。「ノルマの無い会社ならどこでも?」と聞かれる
- 良い例: 転職理由「新規の訪問を回すだけで、契約の後のお客さまに関われなかった」→ 志望動機「契約の後のお客さまを担当し続けるカスタマーサクセスの仕事を中心にしたい」
- 足したもの: 転職理由の「物足りなかった所」が、志望動機の①にそのまま入っている
逃げたい気持ちだけで決めると、志望動機は書けません。転職理由と志望動機の線が切れたまま決めた例が、僕の2社目です。決め手は、いちばんはパワハラから逃げ出したかったことで、営業を続けるかどうかも決めていませんでした。
- 求人でいちばん効いたのは、面接してくれた部長の雰囲気と「リーダー候補」「大手と違う裁量」という言葉
- 入ってから、裁量は放置で、リーダー候補は名ばかりだったと気づいた
- 会社のプロダクトを理解しないまま、面接の言葉だけを信じていた
面接で転職理由と志望動機をどう答えるかは『営業の転職面接でよく聞かれる4つの質問と答え方』にまとめています。
「なぜこの会社?」にはどう答える?
業界の話ではなく、求人票を2〜3社並べて、違った所で答えます。 「なぜこの業界」は①と②の間の話、「なぜこの会社」は②の中の1行の話です。
| 聞かれていること | 答えの材料 | 例 |
|---|---|---|
| なぜこの業界? | ①の面白かった所・物足りなかった所と、それが続けられる業界の特徴 | 「契約後も同じお客さまと付き合える仕事がしたい。だから、契約した後も使い続けてもらう商材を扱う業界を選んだ」 |
| なぜこの会社? | 求人票を並べて、この会社だけにあった1行 | 必須の欄・仕事内容・評価の仕組み |
比べる軸は、求人票で公開されていることが多い「必須の欄・働き方・評価の仕組み」です。たとえば、法人営業の求人を2社の公開情報で並べるとこうなります(求人は時期で変わるので、応募するときの求人票で確かめてください)。
| 株式会社kubell(旧 Chatwork) | Sansan株式会社 | |
|---|---|---|
| 職種 | セールス(Chatwork)オープンポジション | ソリューションセールス[Sansan] |
| 必須 | 無形商材の法人営業経験・新規開拓営業 | 法人営業の経験3年以上 |
| 給与 | 応相談 | 年収622万〜965万円(月35時間相当の時間外手当を含む) |
| 働き方 | フレックス(メインタイム10:00〜16:00)。週3日程度はオフィス出社 | 週3日以上出社 |
| ほかに公開していること | 求人票で確認 | 評価はミッショングレード制(期待されている役割に応じて等級を決める)。フィールドセールスに約185名が在籍(2026年4月時点・求人票の記載) |
この違いを、②の1行に直します。
- kubellの必須に「新規開拓営業」がある → 新規開拓が面白かった人は「新規開拓の経験をそのまま活かせる」と書ける(仕事の中心と言うなら、求人票の仕事内容の欄から1行を引く)
- Sansanは期待されている役割に応じて等級が決まる → 「期待される役割に応じて等級が決まる環境で、〈①の経験〉を役割として任されたい」と書ける
- 年収の幅を理由に書くと、さっきの「条件がにじむ」型に戻る。給与は理由にしない
僕は3社目と4社目で転職エージェントを使い、見るものを「商材と業績」(売上と成長率・会社の規模)に変えて比べています。
求人票のどこを読めば違いが見えるかは『書類選考が通らない20代の営業が、まず見直す求人票の読み方』で詳しく書いています。
営業・販売から移る人の見本は?
3人の見本を置きます。どれも架空の人物で、悪い例と良い例は同じ経験から書いています。違うのは書き方だけです。
個人営業から法人営業へ
見本(架空の人物・個人のお客さま向けの営業)
- 悪い例: 「営業として成長したいと考え、成長を続ける御社を志望しました」
- 何が足りないか: 「成長」が2回出るだけで、何が面白くて何を続けたいかが無い
①いまは個人のお客さま向けの営業で、契約が一度きりになることが多く、同じお客さまと長く付き合えないのが物足りませんでした。一方で、提案の前に困りごとを聞き出す時間はいちばん面白いと感じていました。 ②〈応募先〉の法人営業は、求人票に〈担当企業の課題を聞き、継続して提案する〉とあり、聞き出す所を仕事の中心にできると考えました。 ③入社後はまず商材と既存のお客さまの事例を覚え、先輩の商談に同席して聞き方を学ぶところから始めたいです。
- 足したもの: ①の「物足りなかった所」と「面白かった所」、②の求人票の1行、③の最初の動き
営業からカスタマーサクセスへ
見本(架空の人物・新規開拓の営業)
- 悪い例: 「お客さまに寄り添う仕事がしたく、志望しました」
- 何が足りないか: 「寄り添う」がどの場面かが無い。いまの営業でも言える
①いまは新規開拓の営業で、契約の後のお客さまには関われません。契約後に使い方の問い合わせを受け、説明して喜ばれたときが、いちばん手応えがありました。 ②〈応募先〉のカスタマーサクセスは、求人票に〈契約後のお客さまの活用を支える〉とあり、その手応えを仕事の中心にできると考えました。 ③入社後はまず製品を自分で使い込み、よく聞かれる質問を自分でまとめるところから始めたいです。
- 足したもの: 「寄り添う」を、手応えがあった場面に置き換えた
販売から営業事務へ
見本(架空の人物・店舗の販売スタッフ)
- 悪い例: 「接客で培ったコミュニケーション能力を活かしたいと考えました」
- 何が足りないか: どの仕事にも出せる。営業事務で何に使うかが無い
①いまは店舗で販売をしています。接客より、在庫の確認や発注、売り場の数字をまとめる裏方の段取りをミスなく回すことに面白さを感じていました。 ②〈応募先〉の営業事務は、求人票に〈受発注・見積もりの作成〉とあり、段取りをミスなく回す所を仕事の中心にできると考えました。 ③入社後はまず社内のシステムと商品の型番を覚え、〈現在勉強中の分野〉も続けながら、営業の方が頼みやすい事務を目指します。
- 足したもの: 「コミュニケーション能力」を、販売の中で面白かった具体の作業に置き換えた
3本とも、①の「面白かった所」が②の「仕事の中心」とそのままつながっています。ここが切れていないかだけ、最後に確かめてください。
SaaS営業を狙う人は何を足す?
②で「どの工程をやりたいか」まで書きます。 SaaSの求人は「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」のように、工程ごとに職種名が分かれていることがあるからです。
- 「SaaS営業がしたい」で止めない
- 「契約前の商談を作る所がしたい」「契約後の活用を支える所がしたい」のように、①とつながる工程を選ぶ
僕は人材会社で、営業を工程で見る「The Model」の考え方を覚えました。SaaS向けの書き方と例文は『SaaS営業の志望動機はこう書く!』にまとめています。
今日からやること
- 転職理由を1行で書く。 その中の「物足りなかった所」を、志望動機の①に移す
- 求人票を2〜3社開き、必須・仕事内容・評価の欄で違う所を1つずつ書き出す。 それが②の1行になる
- 3段を埋めて、声に出して読む。 職務経歴書に志望動機を載せるかは自分で選べる項目ですが、面接は職務経歴書の内容に基づいて質問されることが多いので、載せるなら聞かれる前提で書く
求人票を自分で並べるのが大変なら、相談先を使う手もあります。『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、自分に合う相談先の選び方をまとめています。
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個人営業や販売の人は、上の比較記事で相談先を見るか、移る職種から選んでください。移る先の候補は『未経験転職でおすすめの職種は?』で給料と並べて比べています。
