未経験エンジニア転職で年収は下がる?入社時の給料を求人票で見抜く方法
営業や接客からエンジニアを考えているけれど、「未経験だと年収が下がる」と聞いて手が止まっている人へ。
- 入社時の年収は、統計ではなく応募する会社の求人票の提示額で決まります
- ネットで見る「エンジニアの平均給与」は、いまその仕事をしている人の平均です。未経験で入った人の給与ではありません
- 求人票は月給の内訳・賞与・残業代の払い方を、今の給与明細と同じ形に並べて比べます
根拠は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)と、IT未経験可の求人ページ、教育訓練給付金の案内です。
未経験でエンジニアになると、年収はどうなる?
入社時の年収は、応募する会社の求人票に書かれた提示額で決まります。ネットの平均給与では決まりません。
よく引用される職種別の給与は、いまその職に就いている人の平均です。
- 例: ソフトウェア作成者は平均年齢37.1歳、勤続年数9.9年で、所定内給与額356.8千円(令和7年)
- 経験を積んだ人を含む数字なので、未経験で入った直後の給与とは別物です
- 「平均が高いから移れば上がる」とも、「未経験だから下がる」とも、統計だけでは言えません
ネットで年収の数字を見かけたら、次の3つを確かめてから使います。
見本(数字は例): ネットの記事で見かけた1行
「エンジニアの平均月給は36万円。営業より高い」
- 誰の平均か → いま働いている人全員か、未経験で入った人か
- 何歳の平均か → 平均年齢が30代後半なら、20代の入社時とは離れている
- 何が入っているか → 残業代や賞与を含むか
3つとも書かれていなければ、入社時の給与の目安には使いません。
決め手になるのは、応募先の求人票と今の給与明細を同じ形で並べることです。入口の求人がどれくらいあるかを先に知りたい人は『未経験からエンジニア転職は難しい?20代の営業・接客が狙うべき入口』にまとめています。
求人票の給料欄はどこを見ればいい?
月給の内訳、賞与の決まり方、残業代の払い方、応募資格の順に見ます。
| 見る所 | 確かめること |
|---|---|
| 月給の内訳 | 基本給と、固定残業代などの手当が分けて書かれているか |
| 賞与 | 年に何回か。「実績」か「約束」か |
| 残業代 | 固定残業代込みか、働いた分だけ払われるか |
| 応募資格・研修 | IT経験が要るか。入社後に学ぶ期間があるか |
給料欄は、この型で1行に写す
求人票の月給欄は、下の型の〈 〉を埋めて写します。基本給は「月給」の合計ではなく、内訳の基本給を書きます。
見本(数字は例): 求人票の給料欄の写し方
型
基本給〈額〉+固定残業代〈額〉(〈何時間〉分)+手当〈名前・額〉/賞与〈回数〉・〈実績か約束か〉/残業代〈込みか、働いた分だけか〉
悪い例
月給25万円〜。賞与あり。残業代支給。
足りないもの: 基本給がいくらか、固定残業代が入っているか、賞与が何を元に決まるかが読めません。
良い例
基本給20万円+固定残業代3万円(20時間分)+資格手当2万円=月給25万円〜/賞与年2回・前年度実績/20時間を超えた残業は別に支給
足したもの: 基本給の額、固定残業代の額と時間、賞与が「実績」か「約束」か、超えた分の払い方。
「月給◯万円〜」と幅で書かれているときは、下の額で計算します。上の額は経験者向けのことがあります。
写したら、2つの額で比べる
何を知りたいかで、比べる額を2つに分けます。
| 知りたいこと | 比べる額 |
|---|---|
| 入社後も生活できるか | 総支給どうし(今の給与明細の総支給と、求人票の月給に残業代の見込みを足した額。インセンティブも含める) |
| 条件そのものが良いか | 基本給どうし(固定残業代・営業手当などを除いた額) |
- 固定残業代が月給に入っていると、総支給は高く見えても基本給は低いことがあります
- 2つの額を両方出しておけば、見誤りません
例: テクノプロの IT 未経験可の求人
応募資格の必須は「社会人としての何かしらのご経験 目安1年以上」だけで、IT経験は問いません。
給与欄で読めるのは次の点です。
- 月給制で、賞与は年2回・前年度実績で約4ヵ月
- 月平均残業時間は11.2h。残業代は1分単位で全額支給
- 資格取得報奨金(約140種類対象)あり
上の型に当てはめると、こう読めます。
- 賞与は「前年度実績」=去年の支給の結果で、今年の約束ではありません
- 残業代は働いた分だけ払われる書き方です
- 基本給の額は、型の空欄が埋まるかを求人ページで確かめます
同じ年代のエンジニアはどれくらいもらっている?
20代でソフトウェア作成者として働いている人の所定内給与額は、20~24歳で257.7千円、25~29歳で299.6千円です(令和7年)。
所定内給与額は、残業代や賞与を含まない毎月の給与です。
| 職種(令和7年) | 20~24歳 | 25~29歳 | 全年齢の平均(平均年齢) |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア作成者 | 257.7千円 | 299.6千円 | 356.8千円(37.1歳) |
| システムコンサルタント・設計者 | 337.4千円 | 388.3千円 | 506.8千円(38.3歳) |
| その他の情報処理・通信技術者 | 260.9千円 | 283.9千円 | 379.1千円(42.2歳) |
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 第5表(男女計・企業規模計(10人以上)・一般労働者・産業計)
- これは同じ年代でいまその仕事をしている人の相場で、未経験で入った人の給与ではありません
- 入社時の給与は、求人票の提示額で見てください
- この表の使い道は、数年後の目安です。経験を積んだとき、同じ年代の人がどのあたりにいるかを知るために見ます
自分の給与明細と並べるときは、残業代を抜いて物差しをそろえます。
見本(数字は例): 給与明細を表と同じ物差しにする
- 明細: 基本給22万円・営業手当2万円・残業代4万円
- 表と並べる額: 残業代を除いた24万円
- 読み方: 表の数字は、経験を積んだ数年後の目安。入社時に比べる相手は求人票の提示額
今の仕事(営業・販売・接客)と比べて高い?低い?
20代の相場は、営業職とソフトウェア作成者で近く、販売・接客はそれより低い職種が多くなっています。
| 職種(令和7年) | 20~24歳 | 25~29歳 |
|---|---|---|
| 自動車営業職業従事者 | 249.6千円 | 286.9千円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) | 266.8千円 | 295.8千円 |
| 金融営業職業従事者 | 269千円 | 305.6千円 |
| 保険営業職業従事者 | 260千円 | 291.7千円 |
| その他の営業職業従事者 | 262.2千円 | 313.6千円 |
| 販売店員 | 234千円 | 249.8千円 |
| その他の商品販売従事者 | 263.3千円 | 296.7千円 |
| 販売類似職業従事者 | 281.9千円 | 338.5千円 |
| 飲食物給仕従事者 | 221.4千円 | 242.9千円 |
| 娯楽場等接客員 | 228.8千円 | 243.8千円 |
| (参考)ソフトウェア作成者 | 257.7千円 | 299.6千円 |
出典: 同上(所定内給与額)
この差も、在職者の平均どうしの差です。移った直後に給与がこの分だけ変わる、という意味ではありません。
次のどれかに当てはまる人は、応募の前に、上の「求人票の給料欄はどこを見ればいい?」の2つの比べ方で、総支給どうし・基本給どうしの差を両方数字で出してください。
- 今の給与に、営業手当やインセンティブが大きく入っている
- 今の月給か、求人票の月給のどちらかに固定残業代が入っている
- 毎月の出費に余裕が小さく、入社後の数か月を貯金で埋められない
出し方は、明細と求人票を1つの表に並べるだけです。
見本(数字は例): 営業の給与明細と、IT未経験可の求人票を並べる
| 今の給与明細(営業) | 求人票(IT未経験可) | |
|---|---|---|
| 基本給 | 21万円 | 21万円 |
| 営業手当・固定残業代 | 4万円 | 0円 |
| 残業代・インセンティブの見込み | 4万円 | 1万円 |
| 総支給 | 29万円 | 22万円 |
- 基本給どうしは同じ。条件そのものは下がっていません
- 総支給どうしは7万円下がります。毎月の出費から7万円を引いて、暮らせるかを見ます
エンジニアのほかに、未経験から入れる職種と給与の相場を横に並べて見たい人は『未経験転職でおすすめの職種は?』が役に立ちます。
スクール代は国の制度で一部戻る(条件あり)
厚生労働省の教育訓練給付金の対象講座なら、受講費の一部が戻ります。ただし雇用保険の被保険者期間などの条件があります。
| 種類 | 支給 | 追加の支給 | 対象講座の例 | 被保険者期間 |
|---|---|---|---|---|
| 専門実践教育訓練給付金 | 教育訓練経費の50%(上限年間40万円) | 資格取得等をして、修了翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合等は20%(上限年間16万円)。訓練前後で賃金が5%以上上昇したら10%(上限年間8万円・2024年10月1日以降に受講開始した方が対象) | 第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)、ITSSレベル3以上の資格を目標とする課程 | 3年以上(初回は2年以上) |
| 特定一般教育訓練給付金 | 教育訓練経費の40%(上限20万円) | 資格取得等をして、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合等は10%(上限5万円・2024年10月1日以降に受講開始した方が対象) | ITSSレベル2の資格を目標とする課程(例:基本情報技術者試験) | 原則3年以上(初回は1年以上) |
| 一般教育訓練給付金 | 教育訓練経費の20%(上限10万円) | —(案内の記載は20%のみ) | 情報関係(Webクリエイター、CAD利用技術者試験、Oracle認定資格等) | 原則3年以上(初回は1年以上) |
出典: 厚生労働省(専門実践)/厚生労働省(特定一般・一般)
戻る額は、受講料に表の割合を掛けて出します。
見本(数字は例): 受講料30万円の講座が、特定一般教育訓練給付金の対象だった場合
- 戻る額: 30万円の40%で12万円(上限20万円の内側)
- 資格を取って1年以内に雇用保険の被保険者として雇われたら: 10%の3万円が追加
- 自分で払う額: 30万円−12万円−3万円=15万円
どの講座でも対象になるわけではありません。申し込む前に、次の2つを確かめてください。
- スクールに聞く: 「この講座は教育訓練給付金の対象ですか。専門実践・特定一般・一般のどれですか」
- 自分で確かめる: 雇用保険の被保険者期間が、表の年数を満たしているか
今日からやること
今日できるのは、次の3つです。
- 今の給与明細を書き出す: 基本給、手当(営業手当・固定残業代)、残業代、賞与を分けて書きます
- IT未経験可の求人票を開き、同じ欄を並べる: 月給欄の基本給・手当・賞与・残業代の払い方を、1の横に書きます。総支給どうしで生活できるかを、基本給どうしで条件の良し悪しを見ます
- 求人票で分からない欄を、応募前に企業へ質問する: 応募フォームや面談で、次のように聞きます。答えが出たら、2の表に書き足します
「固定残業代は何時間分ですか」 「賞与は何を元に決まりますか」 「入社時の月給は、幅のどのあたりになりますか」
エンジニア以外も比べたい人へ。営業のまま SaaS へ移る道なら、『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、どのエージェントに相談すればいいかをまとめています。
エンジニアの平均給与を見て迷うより、1枚の求人票と自分の給与明細を並べるほうが、次の一手ははっきりします。
