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未経験からエンジニア転職は難しい?20代の営業・接客が狙うべき入口

未経験からエンジニア転職は難しい?20代の営業・接客が狙うべき入口

営業や販売に限界を感じて、手に職をつけたくてエンジニアを考えている人へ。「未経験歓迎」の広告は多いのに、本当に入れるのかが分からない。その疑問に、国と調査元の数字で答えます。

  • 未経験からエンジニアにはなれます。ただしハローワークの有効求人倍率は、情報処理・通信技術者1.50倍で、営業職業従事者2.20倍より低い
  • dodaの2023年の調査で、企業の人材確保方針に「未経験者の採用」を挙げたのは16.0%(複数回答)。同じ調査で、未経験者の採用実績のトップは、未経験者が一番やりたい「Webエンジニア」ではなく「社内SE」
  • 応募先は、求人票の〈必須の応募資格が社会人経験だけか〉〈研修の中身と期間が書いてあるか〉の2点で絞る

根拠は、厚生労働省の求人倍率と賃金統計、dodaの調査、IPAの調査、企業の採用ページです。

未経験からエンジニアになれる?求職者1人あたりの求人は営業より少なめ

なれます。ただ、ハローワークの数字では、エンジニアは求職者1人あたりの求人が営業より少なく、職業計よりは多い位置にあります。

令和8年7月の常用(パート除く)の有効求人倍率です(ハローワークの求人・求職)。

職業有効求人倍率
営業職業従事者2.20倍
商品販売従事者1.91倍
接客・給仕職業従事者1.63倍
情報処理・通信技術者1.50倍
職業計1.16倍
一般事務従事者0.28倍

有効求人倍率は「仕事を探している人1人あたりに、求人が何件あるか」です。

見本(数字は例): 倍率の読み方

  • 倍率2倍=探している人10人に、求人が20件
  • 倍率1倍=探している人10人に、求人が10件
  • 倍率が下がるほど、1件の求人を取り合う人が増える

この表から読み取れることは次の3つです。

  • 営業・販売から移ると、競争は増える: 求職者1人あたりの求人が多い職業から、少ない職業へ動くことになる
  • それでも職業計よりは多い: 情報処理・通信技術者の1.50倍は、職業計の1.16倍を上回る
  • 事務よりは入りやすい: 一般事務従事者の0.28倍よりも高い

未経験で移れる職種をエンジニア以外とも並べて見たい人は、『未経験転職でおすすめの職種は?』に7職種をまとめています。

転職サービスのdodaでは、2023年1月時点の転職求人倍率が全職種約2.3倍に対し「エンジニア(IT・通信)」は約11.2倍でした。集計する求人も時期もハローワークと違うので、2つの倍率は並べて比べられません。

未経験者を採っている会社はどれくらいある?

採る企業はあります。ただ、多くの企業がまず欲しいのは経験者です。

dodaの2023年の調査で、企業側の人材確保方針(複数回答)は次の順でした。

人材確保方針割合
実務経験者の採用84.0%
微経験者の採用52.0%
未経験者の採用16.0%

この16.0%は読み違えやすい数字です。

  • 読み違い: 採用された人のうち、未経験者が16.0%
  • 正しい読み: 「未経験者の採用」を方針に挙げた企業の割合が16.0%

それでも、入口は2023年1月までの2年で広がりました。

  • dodaが扱う約17万件(2022年12月27日時点)の求人票が対象
  • ITエンジニア職の「職種未経験歓迎」求人の割合は、2021年1月から2023年1月までの2年で約3.0倍に伸びた

人材が足りないと答える企業も多くあります。IPAのDX動向2024調査(2023年度分)では、DXを推進する人材(エンジニアに限りません)の「量」が「大幅に不足している」と答えた日本企業は62.1%でした。調査を始めた2021年度以降で初めて過半数を超えています。

  • 読み違い: 62.1%の企業が、未経験者を採っている(採る予定)
  • 正しい読み: 62.1%の企業が、DXを推進する人材の量が「大幅に不足している」と答えた

だから「人手不足だから誰でも入れる」とは読めません。未経験者を育てる前提の求人を、自分で選ぶ必要があります。

やりたい仕事と、実際に採用される仕事はちがう

未経験者が狙う入口は、希望の多い「Webエンジニア」より、採用実績の多い「社内SE」です。

同じdodaの2023年の調査で、ITエンジニア職の未経験者・微経験者が従事したい業務の最多は「Webエンジニア」でした(個人の回答)。

個人の回答:従事したい業務の最多未経験者微経験者
Webエンジニア27.4%36.6%

一方、企業の採用実績のトップは「社内SE」でした(企業の回答)。

企業の回答:採用実績のトップ未経験者微経験者
社内SE16.1%36.3%
  • 2つの表は答えた人も問いも違うので、数字どうしは比べられない
  • 社内SEの16.1%は企業の回答の割合で、未経験で採用された人のうち16.1%、という意味ではない
  • 比べられるのは「最多・トップに挙がった仕事が違う」こと

求められるスキルもずれています。

答えたトップ
個人が「応募時に求められる」と考えるスキル「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの習得」(未経験者24.7%・微経験者16.9%)
企業が最も求めるもの「コミュニケーションスキルの向上」(25.0%)

プログラミング言語を覚えてから応募する、という順番だけが入口ではありません。社内SEのように、社内の人と話しながら仕組みを整える仕事から入る道もあります。

営業や接客で、人の話を聞いて相手に合わせて説明してきた経験は、応募書類で言葉にする価値があります。書くときは次の型に入れます。

〈誰〉の〈困りごと・要望〉を聞き取り、〈どう〉説明・調整して、〈結果〉

見本(数字は例): 営業3年・法人担当の場合

悪い例: コミュニケーション能力を活かし、お客様と信頼関係を築きました。

  • 足りないもの: 誰の、何を聞いて、どう動いたかが無い。採用側は仕事の場面を思い浮かべられない

良い例: 法人のお客様30社を担当。導入前の困りごとを聞き取り、社内の技術担当に伝えて提案書にまとめました(月10件ほど)。専門用語を使わない説明を心がけ、問い合わせの往復を減らしました。

  • 足したもの: 相手(法人30社)・工程(聞き取り→技術担当へ伝える→提案書)・量(月10件)。社内SEの「社内の人と話して整える」仕事に近い場面が見える

見本(数字は例): 販売4年・家電量販店の場合

悪い例: 接客を通じて、お客様に寄り添う力を身につけました。

  • 足りないもの: 何を売り、どんな説明をしてきたかが無い

良い例: パソコン売り場で、1日20組ほどのお客様に用途を聞き取り、機能の違いを専門用語を使わずに説明。売り場の問い合わせ対応を手順書にまとめ、新人3人が使っています。

  • 足したもの: 相手(1日20組)・工程(用途を聞く→言い換えて説明)・仕組みづくり(手順書)。個人の売上の数字が残っていなくても書ける

求人票ではこの2つを見る(応募条件・研修)

「未経験歓迎」の文字より、〈必須の応募資格〉と〈研修の中身と期間〉の2点を見ます。このサイトの見方では、この2つが具体的に書いてある求人は、未経験者を育てる前提で募集していると考えます。

見るときの線は次の2つです。社内SEに限らず、どの未経験可の求人でも同じです。

  1. 必須の応募資格: 「社会人経験」だけか。特定の言語の実務経験が【必須】にあるなら、未経験の応募は通りにくい
  2. 研修: 何を、何日かけて学ぶかが書いてあるか。「研修あり」の4文字だけなら、面接で中身を聞く

見本(数字は例): 求人票の1行をこう分ける

  • 残す: 【必須】社会人経験1年以上(業種不問)/研修: 入社後2か月。ITの基礎→テストの実務→現場への同行
  • 面接で聞く: 【必須】社会人経験1年以上/研修あり(中身の記載なし)
  • 後回し: 【必須】Javaでの開発経験2年以上/未経験歓迎

研修の中身が書いていないときに、面接で聞く質問の例です。

  • 「入社後の研修では、何を、何日間かけて学びますか」
  • 「研修が終わった後、最初はどんな仕事を担当する人が多いですか」

実際の書き方の例として、2社の採用ページに書いてあることを並べます(例1の求人票・例2の採用ページ)。

例1:ITエンジニアの求人票例2:東証プライム上場のIT企業の未経験・第二新卒採用ページ
応募資格・歓迎の書き方【必須】「社会人としての何かしらのご経験 目安1年以上」のみ。IT経験は不問学歴不問・IT未経験歓迎(採用ページの表記)
歓迎される経験ITスクール等での学習やIT系資格—
研修—入社研修でITの基礎やソフトウェア開発の流れを学ぶ。初めてPCを業務で使う人でも10日間で基礎を身につけられるとしている
会社求人票に書いてある中途採用比率は2026年6月期79.2%。資格取得報奨金(約140種類対象)あり東証プライム市場上場。2024年8月期に売上高1,000億円を突破
「未経験可」の絞り込みの対象職種—「未経験可」の絞り込みに、フロントエンド/バックエンド/フルスタック/インフラ・クラウド/ネットワークエンジニア等
  • この表で確かめられたのは、例1は〈必須の応募資格〉、例2は〈研修の中身〉と基礎までの日数(10日間)
  • 研修全体の期間はこの表では分からないので、上の2番目の線のとおり面接で聞く
  • 1社で2点がそろう見本ではなく、それぞれの点をどう書いているかの例として見る
  • 表の「—」は、このサイトで確かめていない欄。採用ページに書いていない、という意味ではない。応募する前に、自分で求人票を開いて確かめる

どちらも書いていない求人は、「未経験歓迎」とあっても後回しにします。書類で落ち続けている人は、『書類選考が通らない20代の営業が、まず見直す求人票の読み方』に、求人票から応募書類を直す手順をまとめています。

スクールに通うなら、国の制度で費用の一部が戻る

申し込む前に「国の教育訓練給付金の対象講座か」を確かめます。対象講座で、自分が支給の条件を満たせば、受講費の一部が戻ります。

給付金支給追加支給対象講座の例
専門実践教育訓練給付金教育訓練経費の50%(上限年間40万円)を6か月ごとに資格取得等をして訓練修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合等は20%(上限年間16万円)。訓練前後で賃金が5%以上上昇した場合は10%(上限年間8万円)第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座、例:データサイエンティスト、サイバーセキュリティ)。ITSSレベル3以上の情報通信技術関係資格(例:シスコ技術者認定CCNP)
特定一般教育訓練給付金教育訓練経費の40%(上限20万円)資格取得等して1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合等は10%(上限5万円)ITSSレベル2の情報通信技術関係資格(例:基本情報技術者試験)
一般教育訓練給付金教育訓練経費の20%(上限10万円)—(記載なし)情報関係(Webクリエイター、CAD利用技術者試験、Oracle認定資格等)
  • 追加支給のうち、専門実践の賃金上昇の10%と、特定一般の10%は、2024年10月1日以降に受講開始した方が対象
  • 受け取るには雇用保険の被保険者期間が要る。専門実践は3年以上(初回は2年以上)、特定一般と一般は原則3年以上(初回は1年以上)
  • いまの会社に勤めている間に、自分の期間を確かめておくと動きやすい

見本(数字は例): スクールの説明会で聞くこと

  • 「この講座は、教育訓練給付金の対象講座ですか。専門実践・特定一般・一般のどれですか」
  • 「講座のゴールにしている資格は何ですか」

見本(数字は例): 自分の期間の当てはめ方

  • 新卒で入って今の会社で2年半・給付金は初めて → 初回の期間の条件(専門実践は2年以上、特定一般と一般は1年以上)には届く。ほかの条件も確かめる

20代のエンジニアはどれくらいもらっている?

25〜29歳のソフトウェア作成者の相場は、営業の分類によって上下が分かれます。自動車・保険・機械器具の営業より高く、金融・その他の営業より低く、販売店員や飲食より高い位置です。ただし下の表は在職者の平均で、未経験で入った人の給与ではありません。入社時の給与は、求人票の提示額で見ます。

令和7年の月の所定内給与額(残業代や賞与を含まない額。男女計・企業規模計(10人以上)・一般労働者・産業計、第5表)を年齢階級別に並べます。

職種20~24歳25~29歳
ソフトウェア作成者257.7千円299.6千円
システムコンサルタント・設計者337.4千円388.3千円
その他の情報処理・通信技術者260.9千円283.9千円
その他の営業職業従事者262.2千円313.6千円
機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)266.8千円295.8千円
金融営業職業従事者269千円305.6千円
保険営業職業従事者260千円291.7千円
自動車営業職業従事者249.6千円286.9千円
その他の商品販売従事者263.3千円296.7千円
販売店員234千円249.8千円
飲食物給仕従事者221.4千円242.9千円

どの数字も在職者の平均で、未経験で移った人がこの額になることを示すものではありません。そのうえで相場として並べると、次のとおりです。

  • 営業より高い分類もある: 25〜29歳のソフトウェア作成者は299.6千円で、自動車営業職業従事者の286.9千円、保険営業職業従事者の291.7千円、機械器具・通信・システム営業職業従事者の295.8千円より高い
  • 営業より低い分類もある: 金融営業職業従事者の305.6千円、その他の営業職業従事者の313.6千円より低い
  • この表は相場の位置を並べたものです。移った直後の給与は、求人票の提示額で見てください
  • 販売・飲食より高い: 販売店員の249.8千円や、飲食物給仕従事者の242.9千円よりは高い
  • 設計は別の職種: システムコンサルタント・設計者(25〜29歳は388.3千円)は、ソフトウェア作成者とは別の職種の平均。ソフトウェア作成者から設計に上がった人の給与を示す数字ではない

このサイトの見方として言えば、エンジニアに移るなら入った直後の給与だけで選ばず、設計の仕事に進む道がある会社かを面接で聞いておくと、選び直しを減らせます。

見本(数字は例): 面接で聞く質問

  • 「未経験で入った方は、何年目くらいから設計の仕事を任されていますか」
  • 「設計に進んだ方の、入社からの流れを1人分教えてください」

営業の経験を活かしたまま年収を上げる道と比べたい人は、『SaaS営業の年収は本当に高い?上場14社を並べてわかったこと』に、営業職の求人の年収レンジをまとめています。

今日からやること

今日、求人サイトを開いたらやる3手です。

  1. 「IT未経験」「社内SE」で検索し、〈必須の応募資格が社会人経験だけか〉〈研修の中身と期間が書いてあるか〉の2点がそろう求人は残す。研修の中身が書いていない求人は、面接で聞く候補に分ける
  2. スクールを考えているなら、その講座が教育訓練給付金の対象か、自分の雇用保険の被保険者期間が足りるかを確かめる
  3. 残した求人で、営業や接客で人と話してきた経験をどう書くかを、上の型に入れて職務経歴書の1行目に書いてみる

エンジニアと並べて、営業の経験をそのまま使えるSaaS営業も候補に入れたい人は、『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、どの転職エージェントに相談すればいいかを比べています。

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