インフラエンジニアに未経験で転職するには?プログラミングが不安な人へ
営業や販売の数字に限界が来て、プログラミングは不安だけれど「インフラなら未経験から入れる」と聞いて求人を開いた人へ。先に結論です。
- インフラの「未経験可」の求人は実際にあります。必須欄が「社会人経験」「基本的なPCスキル」だけの求人もあります(HAL)
- 選ぶときは、求人票の 必須欄・研修の期間と中身・研修後の配属の決め方・固定残業と年齢上限 の4項目を並べて比べます
- 資格は合格を待って応募を遅らせず、入社後に会社の制度を使って取る線で考えます
この記事の根拠は、実在する4社の求人票(サクセスホールダーズ・HAL・テクノプロ・ロココ)とSHIFTの採用ページ、パーソルキャリアの調査・厚生労働省の統計と、IPA・シスコの公式情報です。
インフラエンジニアは未経験でも採用される?
未経験で採用する会社はあります。ただし企業の第一の方針は、経験者の採用です。
2023年に公表されたパーソルキャリアの調査です。ITエンジニア職全体の数字で、インフラだけの数字ではありません。
- 企業側の人材確保方針は「実務経験者の採用」84.0%が最多。一方で「微経験者の採用」52.0%、「未経験者の採用」16.0%も続く(複数回答)
- dodaが扱う求人票のうち、ITエンジニア職の「職種未経験歓迎」求人の割合は、2021年1月から2023年1月までの2年で約3.0倍に伸びた
- 2023年1月時点のdoda転職求人倍率は、全職種が約2.3倍に対し「エンジニア(IT・通信)」は約11.2倍
ハローワークの数字でも、令和8年7月の常用(パート除く)の有効求人倍率は情報処理・通信技術者1.50倍で、職業計1.16倍を上回ります。仕事を探す人より、人を探す求人の方が多い職種です。
企業が未経験者・微経験者に最も求めるのは、プログラミング言語ではなく「コミュニケーションスキルの向上」(25.0%)でした。営業や接客で人と話してきた経験は、ここで使えます。ただし、言い方しだいで伝わり方が変わります。
見本(数字は例): 営業・接客の経験を、インフラの面接でどう言うか
穴埋めの型: 『〈相手〉の〈困りごと〉を〈聞き方〉で聞き取り、〈どう片づけたか〉』
- 悪い例: 「営業で培ったコミュニケーション力を活かしたいです」
- 足りないもの: 誰と、何を話して、どうなったかが無い。誰でも言える一文になっている
- 良い例(営業): 「法人30社を担当し、導入後の『つながらない』『動かない』という相談を月10件ほど受けてきました。状況を聞き取って整理し、技術の担当へ引き継いでいました」
- 足したもの: 相手(法人)・量(月10件)・やったこと(聞き取って整理し、引き継ぐ)
- 良い例(接客・販売): 「家電売場で1日20組ほど接客し、『設定が分からない』という相談をその場で聞き分けて案内してきました」
- 足したもの: 場所・量・困りごとの中身・自分がしたこと
インフラの「未経験可」が実際にある根拠は、次の節で並べるサクセスホールダーズ・HAL・SHIFTの求人です。3社とも、未経験可の枠にインフラの仕事を挙げています。
エンジニア全体の入口を先に知りたい人は『未経験からエンジニア転職は難しい?20代の営業・接客が狙うべき入口』にまとめています。
「未経験OK」の求人は、どこを見て選べばいい?
求人票の4項目(必須欄・研修・研修後の配属・固定残業と年齢上限)を並べて選びます。同じ「未経験可」でも、4項目の中身は会社ごとにかなり違います。
インフラの案件がある3社(サクセスホールダーズ・HAL・SHIFT)と、IT経験不問の1社(テクノプロ)の求人を並べました。テクノプロの求人ページには、インフラの案件の例は書かれていません。
| 項目 | サクセスホールダーズ | HAL | テクノプロ | SHIFT |
|---|---|---|---|---|
| 必須欄 | 職種・業種未経験、第二新卒、大歓迎 | 「社会人経験」「基本的なPCスキル」のみ・学歴不問 | 「社会人としての何かしらのご経験 目安1年以上」のみ・IT経験は不問 | 学歴不問・IT未経験歓迎 |
| 研修の長さ | 1か月間の新人研修 | 2か月間、専任講師による研修 | 未確認(求人票で見る) | 未確認(10日間で基礎を身につけられるとしている) |
| 研修後の配属の決め方 | 終了後に希望やスキルレベルを考慮してプロジェクトを決定 | 研修後に案件へ参画(開発・インフラ領域の両方) | 未確認(面接で聞く) | 未確認(面接で聞く) |
| 固定残業 | あり(基本給198,900円+時間外手当20時間分31,100円・超えた分は追加支給) | 記載は未確認(月の残業平均10〜20時間) | 残業代は1分単位で支給(月平均残業時間11.2時間) | 未確認(求人票で見る) |
| 年齢上限 | 〜27歳(長期勤続によるキャリア形成のため) | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
「未確認」「記載なし」は、この記事で確かめた範囲の求人ページに書かれていなかった所です。求人票を開いたら、そこを自分で埋めてください。
必須欄は「社会人経験」だけか
最初に見るのは必須欄です。
- 「社会人経験」「基本的なPCスキル」だけなら、営業や販売からそのまま応募できる
- テクノプロは必須が社会人経験(目安1年以上)だけ。ITスクール等での学習やIT系資格は「歓迎」の側に置いている
- 読み方: 資格は無くても応募でき、あれば加点
研修は長さと中身を見る
研修は、期間と何を学ぶかの両方を見ます。長いほど良いとは限らず、研修の後に何を任されるかとセットで見ます。
- HAL: ITの基礎から実務で活用できる技術力の習得までを2か月間の研修で扱い、その後に案件へ参画
- SHIFT: 研修の期間ではなく、初めてPCを業務で使う人でも「10日間で基礎を身につけられる」と書いている。研修全体の期間は面接で聞く
研修後の配属は「どう決まるか」を聞く
研修の後にどの案件に入るかで、最初の数年の経験が決まります。求人票に書いてあるのは、サクセスホールダーズの「希望やスキルレベルを考慮してプロジェクトを決定」のような一文までです。
配属先の例として書かれているのは、次のような仕事です。
- サクセスホールダーズ: 大規模ネットワーク機器のリプレイス、ネットワークセキュリティの保守・運用、クラウド基盤構築・運用
- HAL(インフラ実績の例): ネットワーク基盤設計・構築・運用・保守、サーバー構築
ここが曖昧なまま入ると、インフラを希望したのに別の仕事に就く、が起きます。面接で聞いてください。
見本(数字は例): 面接で配属を聞く質問
- 悪い例: 「配属はどうなりますか?」
- 足りないもの: 「研修しだいです」で終わりやすい。誰が決めるのか、希望が通るのかが分からない
- 良い例: 「研修後の配属・案件は、誰がどう決めますか。インフラの案件を希望できますか。昨年入った未経験の方は、最初にどんな案件に入りましたか」
- 足したもの: 決める人・希望の扱い・実際に入った案件の例
固定残業と年齢上限
月給の数字だけで比べないでください。サクセスホールダーズの求人票は、こう書いてあります。
月給23万円〜(固定残業代採用=基本給198,900円+時間外手当20時間分31,100円、20時間を超える分は追加支給)
- 比べる数字は、月給23万円〜ではなく基本給198,900円
- 20時間までの残業代は月給に込み。超えた分は追加で出る
年齢上限も見落としやすい所です。サクセスホールダーズの応募年齢は〜27歳なので、28歳以上ならこの求人には応募できません。
応募するか、後回しにするかの数え方
4項目のうち、求人票で埋まるのは次の3つです。3つのうち2つ以上が「未確認」のまま埋まらない求人は、応募を後回しにします。
- 必須欄に何が書いてあるか
- 研修の期間と、何を学ぶか
- 固定残業の時間数と、年齢の上限
3つ目の数え方です。
- 年齢の記載が無い求人は、上限なしとして「埋まった」に数える
- 「固定残業代」「みなし残業」の語が無く、かつ残業代を全額支給と書いてあれば、固定残業なしとして数える
- 「固定残業代◯時間分・超えた分は追加支給」と書いてある求人は、固定残業あり。月給から固定残業代を引いた基本給で比べる
研修後の配属の決め方は、求人票ではほぼ埋まりません。ここは数えずに、応募の後の面接で聞きます。
見本(数字は例): 求人3件を数えたメモ
- A社: 必須欄=社会人経験のみ/研修=1か月・ネットワークの基礎/固定残業20時間・年齢の記載なし → 3つ埋まった → 応募する
- B社: 必須欄=社会人経験のみ/研修=記載なし/固定残業=記載なし → 2つ埋まらない → 後回し
- C社: 必須欄=社会人経験のみ/研修=2か月・サーバーの基礎/残業代は全額支給・年齢上限25歳 → 3つ埋まった。ただし年齢で外れるなら応募できない
ヘルプデスクの経験が要る求人は、どう見分ける?
ヘルプデスクなどの経験が必須欄にある求人は、未経験では応募できません。経験が「必須」と「歓迎」のどちらの欄にあるかで見分けます。
- 例: ロココの中途採用枠は「ヘルプデスク、社内SEなどの実務経験(3年以上)」が必須。未経験では応募できない
- この記事で集めた求人の中に、ヘルプデスクの「未経験可」の求人はなかった。「ヘルプデスクなら未経験で入れる」とは、ここでは言えない
見本(数字は例): 必須欄と歓迎欄の読み分け
- 「【必須】社会人経験1年以上 【歓迎】ヘルプデスクの経験」→ 未経験でも応募できる(経験はあれば加点)
- 「【必須】ヘルプデスク、社内SEなどの実務経験2年以上」→ 未経験は応募できない
未経験の人は、先に並べた「未経験可」のインフラ求人から、同じ4項目で選んでください。
1年目の給料は求人票で確かめる
入社時の給与は、求人票の提示額で決まります。
- 金額が書いてある求人: 固定残業代を除いた基本給で比べる。サクセスホールダーズなら、月給23万円〜ではなく基本給198,900円の方
- 金額が無い求人: HALは「前職・経験・スキルに応じて決定」とだけ書いている。面接で提示額を確かめる
- 面接での聞き方: 「未経験で入った場合の提示額と、その内訳(基本給・固定残業代)を教えてください」
今の給与と比べるときは、給与明細の基本給と、求人票の固定残業代を除いた基本給を並べます。
見本(数字は例): 今の給与と求人を並べる
- 今: 給与明細の基本給22万円(営業手当・残業代は除く)
- 求人: 月給24万円(固定残業20時間分4万円を含む)→ 基本給は20万円
- 比べるのは22万円と20万円。月給だけ見ると上がって見えるが、基本給は下がる
下の表は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の所定内給与額です。企業規模10人以上の一般労働者・男女計の平均で、同じ年代でその仕事をしている人の相場です。
- 所定内給与額は月額。残業代と賞与は含まない
- 未経験で入った人の給与ではない。入社時の給与は、求人票の提示額で見る
| 職種(統計の区分) | 20~24歳 | 25~29歳 |
|---|---|---|
| その他の情報処理・通信技術者 | 260.9千円 | 283.9千円 |
| ソフトウェア作成者 | 257.7千円 | 299.6千円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) | 266.8千円 | 295.8千円 |
| 自動車営業職業従事者 | 249.6千円 | 286.9千円 |
| その他の営業職業従事者 | 262.2千円 | 313.6千円 |
| 販売店員 | 234千円 | 249.8千円 |
この表に、インフラエンジニアだけの区分はありません。いちばん近いのは「その他の情報処理・通信技術者」ですが、インフラ以外の仕事も含む数字です。
エンジニア以外の職種の相場も並べて見たい人は『未経験転職でおすすめの職種は?』にまとめています。
資格は応募の前に取るべき?
必須欄が社会人経験だけの求人なら、資格は応募の前に要りません。決め方は次のとおりです。
- 資格が必須欄に無く、歓迎欄にあるだけ → 合格を待って応募を遅らせない
- すでに勉強を始めていて、受験日が近い → 受けてから応募する手もある
- どちらでもない → 入社後に会社の制度を使って取る
| 資格 | 公式の数字 |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 令和7年度(2025年度)通期の合格率38.5%・令和8年度(2026年度)7月分の合格率41.3% |
| CCNA(200-301) | 受験料は300米ドル(税別)・試験時間はおおむね1〜2時間・有効期間は合格した日から3年間 |
応募を遅らせない理由は2つです。
- 基本情報技術者試験の合格率は令和7年度通期で38.5%なので、一度で受かる前提にはできない
- サクセスホールダーズのように応募年齢が〜27歳の求人もあり、合格を待つ間に応募できる求人が減ることもある
先に取れば、テクノプロのように資格を「歓迎」に置く求人では加点になります。
CCNAはPearson VUEが運営し、会場またはオンラインで受験できます。受験料が米ドル建てなので、会社の報奨金の対象かを先に確かめてから受けます。
会社の制度で取る
- テクノプロ: 資格取得報奨金(約140種類対象)
- ロココ(ヘルプデスク等3年以上の経験者枠の求人): 資格取得支援制度は70種類以上が対象で、年間最大60万円まで手当。未経験では応募できない枠の制度
見本(数字は例): 面接で資格の制度を聞く質問
- 悪い例: 「資格の支援はありますか?」
- 足りないもの: 「あります」で終わる。自分が取りたい資格が対象かが分からない
- 良い例: 「資格取得の報奨金は、CCNAや基本情報技術者試験も対象ですか。受験料は会社が先に払いますか、合格後の精算ですか」
- 足したもの: 資格の名前・お金の出方
自分で講座に通うなら、国の給付金
| 給付金 | 支給 | 対象講座の例 |
|---|---|---|
| 特定一般教育訓練給付金 | 教育訓練経費の40%(上限20万円) | 基本情報技術者試験を目標とする課程 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 教育訓練経費の50%(上限年間40万円) | シスコ技術者認定CCNP(CCNAは例にない) |
- 受けたい講座が対象かは、講座の案内で確かめる
- 受給には雇用保険の被保険者期間の条件がある。特定一般と一般の教育訓練給付金は原則3年以上(初回は1年以上)、専門実践教育訓練給付金は3年以上(初回は2年以上)
- 自分の被保険者期間が足りているかを、ハローワークで先に確かめる
今日からやること
今日、求人サイトで「インフラ 未経験可」と検索して、求人を3件開いてください。
- 3件それぞれの必須欄・研修の期間と中身・研修後の配属の決め方・固定残業と年齢上限を、メモに書き出す
- 求人票で埋まる3つ(必須欄・研修の期間と中身・固定残業と年齢上限)のうち2つ以上が埋まらない求人は後回しにし、残った求人に応募する
- 面接で「研修後の配属・案件は誰がどう決めるか」を聞く質問としてメモに残す
見本(数字は例): そのまま写して使うメモの型
求人名:
1. 必須欄:
2. 研修(期間・中身):
3. 固定残業(時間数)・年齢上限:
→ 埋まった数: /3(2つ以上埋まらなければ後回し)
面接で聞くこと:研修後の配属・案件は誰がどう決めるか/インフラの案件を希望できるか
営業や販売から来た人は、コミュニケーションの経験がそのまま武器になります。次は外さないように、求人票の4項目で選んでください。
インフラへ移るか、営業の経験をそのまま使うSaaS営業へ移るかで迷っている人は『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、相談先の選び方をまとめています。
