リクルーティングアドバイザーとは?営業経験が活きる仕事とCAとの違い
人材業界の求人で「RA(リクルーティングアドバイザー)」を見かけて、CA と何が違うのか、今の営業経験が使えるのか迷っている人へ。先に結論です。
- RA は人材紹介会社で企業側を担当する法人営業。仕事は求人をもらうことと、企業の採用を支えること
- 売上は、紹介した人の就職が決まって企業から入る手数料で決まる。新規開拓や提案をしてきた法人営業の経験はそのまま使える
- CA か RA かは「相手が企業か、個人か」で選ぶ
この記事の根拠は次の2つです。
- 人材紹介会社が自社の RA をどう定義しているか(公表資料)と、厚生労働省の職業紹介事業の集計
- 僕は人材ベンチャーで新卒の人材紹介の新規開拓営業をしていて、社内の CA・RA とも一緒に仕事をしていました。その現場で見たこと
リクルーティングアドバイザー(RA)はどんな仕事?
RA は、人材紹介会社の中で「企業の採用」を担当する法人営業です。
パーソルキャリアは、職種紹介の資料で RA を「顧客の“採用パートナー”であり“経営パートナー”」とし、「人材紹介サービスの法人営業担当として、主に既存顧客に対する中途領域における採用支援を行う『法人営業職』」と定義しています。
同じ資料では、RA の仕事を次の5ステップで説明しています。
- 採用ニーズをキャッチ・求人の獲得
- 企業へのヒアリング
- 求人情報の紹介
- 広報・推薦
- 各種選考のフォロー
「求人を取ってきて終わり」ではありません。どんな人が欲しいのかを企業から聞き出し、紹介した人が選考を抜けるまで付き添う仕事です。
ひとつ注意があります。上の定義は「主に既存顧客」「中途領域」の RA です。
- RA の求人でも、既存顧客を担当するのか、新規開拓をするのかで、毎日の仕事は大きく変わる
- 応募する前に、求人票でどちらかを確かめる
求人票では、仕事内容の欄の言葉で見分けられます。
見本(数字は例): 求人票の仕事内容の読み方
既存の取引企業30社ほどを担当。採用計画のヒアリングから候補者の推薦、面接日程の調整までを行います。
- 読み方: 「既存の取引企業」「担当」とあれば既存顧客型。上の5ステップの②〜⑤が中心
人材紹介をまだ使っていない企業へ、電話やメールでアプローチ。月40件の架電から商談をつくります。
- 読み方: 「まだ使っていない企業」「架電」とあれば新規開拓型。電話営業の比重が高い前提で考える
新卒採用を考える企業の採用活動を支援します。
- 読み方: 「新卒」とあれば新卒領域。上の定義の「中途領域」とは扱う人が違う
RAとキャリアアドバイザーの違いは「相手が会社か人か」
RA の相手は採用したい企業、CA の相手は転職したい個人です。
パーソルキャリアの同じ資料では、CA を「『doda』に登録している転職希望者に対して、転職・就職やキャリア形成のサポートを行う仕事」としています。
| RA(リクルーティングアドバイザー) | CA(キャリアアドバイザー) | |
|---|---|---|
| 相手 | 採用したい企業 | 転職したい個人 |
| 主な仕事 | 求人の獲得・企業へのヒアリング・選考のフォロー | 面談・求人の紹介・選考の支援 |
| 近い仕事 | 法人営業 | 個人営業・カウンセリング |
| 成果の出方 | 紹介した人の就職が決まる | 支援した人の就職が決まる |
成果の出口は同じ「就職が決まること」です。違うのは、そこへ企業側から近づくか、個人側から近づくかです。
RA と CA を分けている会社では、2つの職種が組んで動きます。CA は、紹介できる求人の中から、内定や内定承諾が出やすい「当たり求人」を探しています。
1件の採用で、2人がどう動くかを並べるとこうなります。
見本(数字は例): 営業職を1名採用したい企業の場合
- RA: 企業の人事から「法人営業を1名。新規開拓の経験がある人」と聞き取り、求人にする
- RA: 求人情報を社内に紹介する
- CA: 面談した転職希望者の中から、合いそうな人にこの求人を紹介する
- RA: 応募した人を企業に推薦し、面接の日程や選考をフォローする
- 就職が決まる: 企業から紹介会社へ手数料が入る
どちらが合うか迷ったら、長く時間を使いたい相手で決めます。
- 会社の担当者と「どんな人を採るか」を話したい → RA
- 1人の人と「次にどこで働くか」を話したい → CA
CA の仕事と未経験での入り方を詳しく知りたい人は、『キャリアアドバイザーに未経験でなれる?人材紹介の現場で見た仕事の本音』にまとめています。
RAの売上はどこから入る?
RA の売上は、紹介した人の就職が決まったときに、採用した企業から入る手数料です。人材紹介は、求職者は無料で、企業が紹介会社に手数料を払うことで成り立っています。
厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」の、有料職業紹介事業の数字です。
- 手数料収入は約9,835億円(前年度比17.6%増)
- うち常用就職1件あたりの手数料は約103万円(同10.9%増)
- 就職件数(常用就職)は888,993件(同5.3%増)
- 事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561事業所で、うち就職実績のあった事業所は13,946事業所
これは有料職業紹介事業の全体の数字です。どの職種・どの年収の人の紹介かで、1件の手数料は変わります。
ここから分かるのは、RA の売上は「求人を取った数」ではなく「就職が決まった数」で立つということです。CA の目標も多くは売上で、支援者数や内定承諾数を置くこともあります。
見本(数字は例): RA の1か月を数えてみる
- 新しく取った求人: 8件
- 企業に推薦した人: 15人
- 面接に進んだ人: 6人
- 就職が決まった人: 1人
売上になるのは、最後の「1人」だけです。求人を何件取っても、決まらなければ数字にはなりません。
面接では「目標は求人の件数ですか、決まった人数(売上)ですか」と聞くと、毎日どこに時間を使う仕事かが分かります。
RAはきつい?
新規開拓が中心の RA のきつさは、僕がいた人材紹介の新規開拓営業と同じで、断られ続ける電話営業の繰り返しです。
僕がいちばんきつかったのは、次の2つでした。
- ひたすら電話営業をして、同じことを繰り返す
- 断られたり、迷惑がられたりするのが精神的にこたえる
僕のいた会社では、労働時間の長さもこたえました。働く時間は会社ごとに違うので、応募先の求人票と面接で確かめてください。
求人票に「新規開拓」とある RA を選ぶなら、この電話営業のきつさは覚悟しておいた方がいいです。
もう1つ、RA ならではのきつさがあります。売上が立つのは就職が決まったときなので、企業と候補者の両方が決めてくれないと数字にならないことです。
見本(数字は例): 数字にならなかった1件
- 企業: 面接を3回して、内定を出した
- 候補者: 同じ週に別の会社からも内定が出て、そちらに決めた
- RA の売上: 0。3回分の日程調整とフォローは数字に残らない
自分の努力だけでは動かせない部分が残る、ということです。電話営業のきつさから離れる先を RA 以外も含めて考えたい人は、『営業を辞めたい人の転職先は3つ』も参考にしてください。
RAに向いているのはどんな人?
今の法人営業で身につけたことは、そのまま使えます。次のうち2つ以上当てはまる人は、RA の仕事の形に合っています。
- 新規開拓で、断られても次の電話をかけてきた
- 相手の課題を聞き出して、提案を組み立てるのが苦にならない
- 自分の商品より「相手の会社がどうなるか」に興味がある
3つとも当てはまらず、相手が個人のほうが合いそうなら CA が候補です。CA 側の向き不向きは、上で紹介した CA の記事で見分けられます。
営業経験が無くても入口はあります。パーソルキャリアのキャリア採用サイトのよくある質問では、「営業経験(法人または個人)がなくても応募できますか?」に「はい、可能です。販売・サービス業等で店舗やサービスの売上げ向上に向けた取り組みをしてきた方なども多く活躍しています」と答えています。
- パーソルキャリアでは、接客や販売で売上を上げる工夫をしてきた人も応募の対象
- どちらの経験でも、RA の面接では「相手から聞き出して、提案した」話が伝わりやすい
経験を話すときは、次の型に自分の言葉を入れてください。
見本(数字は例): RA の面接で経験を話す型
型: 「〈相手〉を担当し、〈聞き方〉で〈課題〉を聞き出して、〈提案〉をした。〈結果〉になった」
営業の見本(20代・法人営業3年・細かい数字は覚えていない)
- 悪い例: 「中小企業向けの法人営業で、新規開拓をしていました。契約も取れていました」
- 足りないもの: 誰に、どう聞いて、何を提案したかが無い。RA で使う「聞き出す力」が見えない
- 良い例: 「中小の製造業40社ほどを担当し、訪問の前に電話で総務の方に困りごとを聞いていました。『人が足りず残業が増えている』という声に、作業を減らす提案をして、半年で新しく6社と契約しました」
- 足したもの: 相手(製造業の総務)・聞き方(訪問前の電話)・課題(人手不足)・結果(半年で6社)。覚えていない数字は「ほど」で書いてよい
接客・販売の見本(20代・アパレル販売4年・個人の数字は残っていない)
- 悪い例: 「お客様に寄り添った接客を心がけていました」
- 足りないもの: 寄り添った中身が無い。売上を上げる工夫が見えない
- 良い例: 「来店した方に、まず『どんな場面で着るか』を聞いてから、2〜3点に絞って勧めていました。店の客単価を上げる取り組みで、その聞き方を後輩3人に教える役を任されました」
- 足したもの: 聞いたこと(着る場面)・工夫(絞って勧める)・任された役(後輩に教える)。個人の数字が無ければ、店の取り組みと役割で書く
RAの年収はどれくらい?
上場の人材会社2社の有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は5,401千円と8,159千円です。RA だけの年収は、公表資料には見当たりません。
| 会社(有価証券報告書) | 対象 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|---|
| ジェイエイシーリクルートメント(第39期) | 提出会社 | 2,002名 | 35.0歳 | 3.9年 | 8,159千円 |
| エン・ジャパン(第26期) | 提出会社 | 2,014名 | 31歳0ヶ月 | 4年11ヶ月 | 5,401千円 |
読むときの注意は2つです。
- いま在籍している人の平均で、未経験で入った人の給与ではない。入社時の給与は求人票の提示額で見る
- 2社とも、RA だけでなく、ほかの職種や管理部門も含んだ社員全体の平均
求人票の提示額は、次のように読みます。
見本(数字は例): 求人票の給与欄の読み方
月給25万円〜40万円+インセンティブ
- 未経験なら、下限の「25万円」で生活が回るかを先に確かめる
- 上限の「40万円」は、どんな経験の人に出す額かを面接で聞く
- 「インセンティブ」は、何の数字で決まるか(求人の件数か、決まった人数か)を聞く
給料が上がる仕組みも、会社で違います。
- 僕がいた会社: 数字だけでなく、思考力・分析力・専門性などの項目ごとに評価するコンピテンシー評価
- パーソルキャリア: 「6ヶ月毎に上長との評価ミーティングが設けられており、業務レベルやスタンスの向上に合わせて昇給・昇格の判断をしています」
何で評価されるかは、応募前に求人票と面接で確かめておきたい点です。
RAのあとに選べる道
人材業界を辞めた人の行き先は、僕のいた会社ではいろいろでした。
- 営業以外へのキャリアチェンジ(これも多かった)
- よりホワイトで稼げる SaaS やコンサル
- ベンチャーへの転職や、起業
社内で職種を移れる会社もあります。パーソルキャリアは、社員が自ら異動を希望して選考を受ける「キャリアチャレンジ制度」を年2回実施し、制度開始からの累計異動者数は500名以上としています。RA から入って CA や別の職種を目指す道もある、ということです。
RA と並べて、SaaS 営業の年収がどう出ているかを見たい人は、『SaaS営業の年収は本当に高い?上場14社を並べてわかったこと』で比べています。
今日からやること
今の仕事がもう限界で、次は外したくない人が今日できるのは次の3つです。
- 求人サイトで「リクルーティングアドバイザー」「法人営業(人材紹介)」を検索し、求人票で中途か新卒か・既存顧客か新規開拓かを見る。新規開拓中心なら、電話営業の比重が高い前提で考える
- 同じ求人票で評価の仕組みを探す。数字だけか、項目ごとの評価もあるか。書いていなければ面接で聞く質問に入れておく
- RA か CA か、それとも別の職種か決めきれないなら、1人で求人を眺め続けずに相談先を決める
転職エージェント選びで迷っている人は、『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』に、自分に合う相談先の選び方をまとめています。
相談するときは、悩んだまま選考に進まないことです。「あなたと転職を進めたいので協力してほしい」と伝えて、二人三脚で進めてください。
過去の候補者がどんな質問をされ、どこを評価されて内定が出たのか。これはエージェントしか持っていない情報なので、遠慮せずに聞きましょう。
見本(数字は例): 担当者に送る最初のメッセージ
RA の求人を中心に考えています。あなたと転職を進めたいので、協力してほしいです。 紹介いただく会社で、過去に内定が出た人は、面接でどんな質問をされて、どこを評価されていましたか?
