人事に未経験で転職するには?営業経験を活かせる「採用担当」から入る
人と関わる仕事は好き。でもノルマと詰めはもう限界で、人事に移りたい。「未経験で人事は無理」と聞いて迷っている営業職の人に向けた記事です。
先に結論です。
- 人事部の非管理職(総合職478人)が経験した職域で多いのは「人材採用」61.9%と「労務管理」57.1%です。採用は入口の候補です
- 採用担当の求人には、営業経験が応募資格になるものがあります(「営業経験3年以上」や、営業職で2年以上の経験)。人事に入るなら、採用担当が入口です
- この記事で見る採用担当の求人2件は、どちらも必須条件に資格がありません。探すのは「人事全般」ではなく、応募資格に営業経験が並ぶ採用担当の求人だけです
根拠は、厚生労働省・パーソルグループ・マイナビの調査と、実際の求人票の必須条件です。僕自身は人材会社の法人営業として、新卒を採用したい企業に新卒のダイレクトリクルーティングサービスを売っていました。
人事に未経験で転職するのは難しい?
人事の経験が無くても、営業経験で応募資格を満たせる採用担当の求人があります。下で並べる2件がそうです。
先に、事務職の求人の状況を見ておきます。令和8年7月のハローワークの有効求人倍率(常用・パート除く)です。人事だけの倍率は出ていません。
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 職業計 | 1.16倍 |
| 営業職業従事者 | 2.20倍 |
| 営業・販売事務従事者 | 0.87倍 |
| 会計事務従事者 | 0.52倍 |
| 一般事務従事者 | 0.28倍 |
- 有効求人倍率は、仕事を探す人1人あたりの求人の数です。1を切ると、求人より仕事を探す人が多い状態です
- 表の事務職は、どれも1を切っています
採用担当を狙う理由は、倍率ではありません。応募資格に営業経験が数えられる求人があるからです。探すときは、検索の言葉に「営業経験」を入れます。
見本(検索語の例)
- 避けたい探し方: 「人事 事務 未経験」「人事アシスタント」
- 営業経験を応募資格に数える求人かどうかを、検索の言葉で絞れません
- 試したい探し方: 「採用担当 営業経験」「人事 採用 営業経験者歓迎」
- 応募資格に営業経験が並ぶ求人を拾いやすくなります
人事の側の事情も1つ押さえておきます。
- パーソルワークスデザインの調査では、6割以上の企業が、人事の「人事管理」と「企画」の機能で人員が不足していると答えました
- これは人事管理と企画の機能についての回答で、採用担当や事務の求人の多さを示す数字ではありません
- 同じ調査で、2024年度の人事部門予算を前年度より増やした企業は半数以上です
人事以外の職種とも比べてから決めたい人は『未経験転職でおすすめの職種は?』で、求人倍率と20代の給与を並べています。
人事の仕事で多いのは「採用」と「労務」
人事部の非管理職(総合職)が経験した職域で多いのは「人材採用」61.9%と「労務管理」57.1%です。
パーソル総合研究所が人事部の非管理職層(総合職478人)に聞いた、これまでに経験した人事職域です。
- 「人材採用」61.9%
- 「労務管理(給与・勤怠・福利厚生)」57.1%
2つの仕事は、入るときに要るものが違います。
- 労務: 給与計算や勤怠。制度や法律の知識が先に要ります
- 採用: 候補者と話し、自社を選んでもらう仕事。相手が顧客から候補者に変わるだけで、営業の動き方がそのまま使える場面が多い仕事です
営業の動きを採用の言葉に置きかえると、こうなります。面接で「営業の経験は採用でどう活きますか」と聞かれたときの下書きにも使えます。
見本(営業の動き → 採用の仕事の置きかえ)
- 見込み客にアポを取る → 候補者に面談を打診する
- 相手の困りごとを聞き出す → 候補者が転職で叶えたいことを聞き出す
- 自社の商品を提案する → 自社で働く良さを伝える
- 契約まで追いかける → 内定の承諾まで追いかける
入口と言える理由は、次の求人票にあります。
営業経験があれば応募できる採用担当の求人
採用担当の求人には、営業経験を必須条件に並べるものがあります。2件を並べます。
2026年9月27日時点の求人票の原文です。読んだ時点で募集が無ければ、同じ「営業経験が必須条件に並ぶ採用担当」で探してください。
| 会社(職種) | 応募資格(必須) |
|---|---|
| FANTAS technology株式会社(人事・採用担当) | 「採用担当経験1年以上」「人材領域での対人を伴う実務経験1年以上(RA・CAなど)」「営業経験3年以上」のいずれか |
| 株式会社クオンツ総研ホールディングス(グループ会社クオンツ・コンサルティング/人事採用担当者) | 「採用業務、大手企業向けのコンサルティング業務、営業職のいずれかで2年以上の経験」 |
どちらも「いずれか」です。採用の経験が無くても、営業の年数で応募資格を満たせます。
判断の線は、営業の年数です。
- 営業職が2年以上あれば、クオンツ総研ホールディングスの条件に当てはまる
- 営業経験が3年以上あれば、FANTAS technologyの条件にも当てはまる
応募資格を満たしたら、次は職務経歴書です。営業の実績を「採用でも使える動き」が見える形で書きます。
見本(数字は例): 法人営業3年・採用担当に応募する人の職務経歴書の1行
型: 『〈商材〉を〈顧客〉に〈期間〉提案。〈実績〉。〈相手の話を聞いて動いたこと〉』
- 悪い例: 「法人営業として新規開拓を担当。目標達成に貢献しました」
- 足りないもの: 誰に・どれだけ・どう動いたかが無く、採用で活きる動きが読めない
- 良い例: 「業務用ソフトを中小企業の総務部に3年提案。月20件の初回面談から、半年で新規8社と契約。初回面談で相手の困りごとを聞き出し、提案書に落とすまでを担当」
- 足したもの: 顧客・期間・件数と、「聞き出して形にする」という採用の面談と同じ動き
書類で営業経験をどう見せるかは『書類選考が通らない20代の営業が、まず見直す求人票の読み方』に、求人票から直す手順をまとめています。
営業の年数が足りないなら、人材業界を挟む?
営業の年数が足りないなら、人材業界で1年働いてから人事へ、という道もあります。
FANTAS technologyの応募資格には「人材領域での対人を伴う実務経験1年以上(RA・CAなど)」が入っています。
- RA: 企業側の担当
- CA: 求職者側の担当
- どちらも採用の現場に毎日触れる仕事です
先に知っておいてほしいのは、人材業界の仕事も数字を追う営業だということです。僕は人材会社で、新卒を採用したい企業に新卒のダイレクトリクルーティングサービスを売る法人営業でした。
- ノルマから離れたくて人事を目指すなら、数字を持つ期間がもう1社分続きます
- その代わり、採用する側を外から見られます
- 法人営業がこの「RA・CAなど」に含まれるかは求人票に書かれていません。応募前に確かめてください
確かめるときは、応募先にこう聞けば足ります。
見本(応募前の問い合わせの例)
「応募資格の『人材領域での対人を伴う実務経験(RA・CAなど)』について伺います。人材会社で企業向けに採用サービスを売る法人営業をしていた場合、この経験に含まれますか」
注意点は転職回数です。
- マイナビの調査では、中途採用担当者の77.6%が選考時に転職回数を懸念しています
- 20代の応募者に転職回数3回以上で採用を躊躇する採用担当者は66.4%です
- 1社挟むと回数が1つ増えます。今の会社が1社目か2社目かで、この道を選ぶかを決めてください
見本(転職回数の数え方の例)
- いま1社目 → 人材業界 → 人事: 人事に移るときの転職は2回目
- いま2社目 → 人材業界 → 人事: 人事に移るときの転職は3回目。「3回以上」に入るので、挟まずに採用担当を探すほうを先に考えます
人材業界で働くきつさを先に知りたい人は『人材業界に未経験で転職してもいい?』に、中にいた立場からまとめています。
人事と営業、給料はどちらが高い?
同じ年代でその仕事をしている人の給与の相場で見ると、人事の事務職は営業より低めです。
令和7年の賃金構造基本統計調査で、25〜29歳の所定内給与額を並べます(男女計・企業規模10人以上・一般労働者)。所定内給与額は、残業代や賞与を除いた毎月の給与です。
| 職種 | 25〜29歳の所定内給与額 |
|---|---|
| 庶務・人事事務員 | 274.7千円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) | 295.8千円 |
| その他の営業職業従事者 | 313.6千円 |
この表を読むときの注意は2つです。
- どれもその職にいま就いている25〜29歳の平均で、未経験で入ったときの給与ではありません。入社時の給与は求人票の給与欄で見てください
- 「庶務・人事事務員」は庶務を含む区分で、採用担当だけの数字ではありません
年収を落としたくない人は、応募資格と同じくらい給与の欄を先に見てください。たとえばFANTAS technologyの給与は月給で、みなし残業代56,700円〜25時間分を含み、超過分は別途支給と書かれています。
みなし残業代を含む月給は、残業代を引いてから今の給与と並べます。
見本(数字は例): 給与欄の並べ方
- 求人票: 「月給30万円(みなし残業代5万円・20時間分を含む)」
- 残業代を除いた月給は25万円
- いまの給与: 基本給24万円+残業代4万円
- 残業代を除いた月給は24万円
- 並べるのは「25万円」と「24万円」。月給の30万円と28万円で比べると、差を大きく見てしまいます
人事になるのに資格は要る?
採用担当なら、資格が無くても応募できる求人があります。上の採用担当の求人2件は、どちらも必須条件に資格がありません。
労務の求人には資格を条件にするものもあり得るので、応募する求人ごとに必須条件を確かめてください。
見本(求人票の1行の読み方)
- 「必須: 社会保険労務士資格」 → 資格が無いと応募できない求人。いまは飛ばします
- 「歓迎: 社会保険労務士資格」 → 無くても応募できる求人。営業経験が必須に並んでいれば候補に入れます
人事の資格としてよく名前が出るのは次の2つです。
- 社会保険労務士: 第57回(令和7年度)の試験は、受験者数43,421人、合格者数2,376人、合格率5.5%(前年6.9%)。労務の専門資格で、転職の前に取るには重い資格です
- キャリアコンサルタント: 平成28年4月に職業能力開発促進法に規定された、登録制(5年更新)の名称独占資格。名乗るには試験合格に加えて名簿登録が要ります。登録者数は総数82,527人(令和7年6月末日現在)
人事部の非管理職の7割が、働きながら人事労務の学習をしています。
- パーソル総合研究所の調査では、人事部の非管理職層(総合職・地域限定総合職・一般職を含む650人)の70.7%が、人事労務に関する学習行動を何らか行っています
- 資格の勉強より先に、応募資格に当てはまる求人を探すほうが早く動けます
今日からやること
今日できるのは、次の3つです。
- 営業の年数を数える。 職務経歴書に、営業職の期間を月まで書き出します。2年以上か、3年以上かで応募できる求人が変わります
- 求人サイトで「採用担当 営業経験」「人事 採用 営業経験者歓迎」で検索し、応募資格だけ読む。 僕も1社目で限界だったとき、dodaとマイナビで土日休みに絞って条件検索しました。今回は「営業経験」が応募資格にある求人だけを保存してください
- 保存した求人の給与欄を見る。 みなし残業代が何時間分含まれるかを書き出し、今の給与と並べます
見本(数字は例): 営業の年数の書き出し方
- 1社目 食品メーカー ルート営業: 2022年4月〜2023年7月(1年4か月)
- 2社目 IT商社 法人営業: 2023年9月〜2026年9月(3年1か月)
- 営業の合計: 4年5か月 → 「2年以上」「3年以上」のどちらの求人にも応募できる
採用担当の求人を自分で探しきれないときは、転職エージェントに相談する手もあります。その場合は、人事・採用担当の求人も扱っているかを面談の最初に確かめてください。
人事ではなく、営業を続けて会社を変える道も比べたい人もいると思います。その道の記事が『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』で、転職エージェントの違いと選び方をまとめています。
