営業事務は未経験でもなれる?営業を辞めたい人が経験を活かせる仕事
ノルマと詰めから離れたい。でも営業で覚えたことは捨てたくない。そんな人が次に考えるのが営業事務です。
先に結論です。
- 未経験で応募できる求人はある。ただし営業・販売事務の有効求人倍率は0.87倍で、競争はある(一般事務の0.28倍よりは広い)
- 求人票には「事務未経験からのスタートを歓迎」「営業職から事務職へキャリアチェンジしたい方」と書く会社がある(後者は歓迎条件。必須条件は別に見る)
- 応募書類では〈営業の何を知っているから、事務で役に立つか〉を1行で書く
根拠は、厚生労働省の有効求人倍率(令和8年7月)、賃金構造基本統計調査(令和7年)、実際に出ている営業事務の求人票です。
営業事務は未経験でも入れる?
未経験で応募できる求人はあります。ただし、営業職ほど求人が余っている仕事ではなく、競争はあります。
- 応募できる根拠: 必須条件が「基本的なパソコン操作」だけで、事務未経験からのスタートを歓迎と書く営業事務の求人がある(次の見出しで詳しく見ます)
- 競争がある根拠: 下の有効求人倍率
令和8年7月の常用(パート除く)の有効求人倍率を、ハローワークの求人・求職で並べるとこうなります。
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 営業職業従事者 | 2.20倍 |
| 商品販売従事者 | 1.91倍 |
| 職業計 | 1.16倍 |
| 営業・販売事務従事者 | 0.87倍 |
| 会計事務従事者 | 0.52倍 |
| 一般事務従事者 | 0.28倍 |
倍率は、求人の数を仕事を探す人の数で割ったものです。読み方は次のとおりです。
見本(数字は例)倍率の読み方
- 1倍: 求人と、仕事を探す人が同じ数
- 2倍: 探す人1人に、求人が2件ある(選べる側)
- 0.5倍: 求人1件を、探す人2人で取り合う(選ばれる側)
- 営業・販売事務の0.87倍は、仕事を探す人のほうが求人より多い状態
- それでも一般事務の0.28倍と比べれば、求人と求職者の釣り合いは営業・販売事務のほうが良い位置にある
- この倍率は、未経験かどうかを問わない、職種全体の求人と求職者の比
一般事務や経理も含めて事務全体の入りやすさを比べたい人は、『事務に未経験で転職は難しい?一般事務より狙い目なのは「営業事務」』にまとめています。
応募できる求人は、求人票のどこで見分ける?
見るのは「必須条件」の行です。応募の条件が思っているより低い求人もあれば、営業の経験だけでは足りない求人もあります。
実際に出ている2つの求人を並べます。
| 宮崎本社の営業事務(正社員) | 東京都渋谷区の営業事務(正社員) | |
|---|---|---|
| 必須条件 | 「基本的なパソコン操作」のみ(事務未経験からのスタートを歓迎と明記) | 流通業における営業アシスタント経験 |
| 歓迎条件 | 事務業務経験・ビジネスメールのやり取り経験 | 「営業職から事務職へキャリアチェンジしたい方」 |
| 給与 | 月給201,188円〜260,157円 | 想定年収360万円〜540万円 |
この2つから分かる読み方です。
- 必須条件がパソコン操作だけの求人は、未経験でそのまま応募できる
- 必須に経験が書いてある求人は、その経験が無ければ必須条件を満たしていない。歓迎条件に「営業から」とあっても、必須の代わりにはならない(渋谷区の求人なら、営業職だけの経験では必須の「流通業における営業アシスタント経験」に当たらない)
- 給与の欄は固定残業代を分けて読む。宮崎の求人は月給201,188円〜260,157円ですが、内訳は基本給174,000〜225,000円+固定残業代27,188〜35,157円(固定残業20時間分)です
求人票を開いたら、上から順にこう判定します。
見本(数字は例)求人票の1行ずつの判定
- 「必須条件:基本的なPC操作(Word・Excel)」→ 応募できる
- 「必須条件:営業事務の経験1年以上」→ 営業だけの経験では応募できない。次の求人へ
- 「歓迎:営業経験のある方」→ 必須を満たしたうえでの加点。志望動機で触れる
- 「月給24万円(固定残業代3万円・20時間分を含む)」→ 基本給は21万円として比べる
「基本的なパソコン操作」を形で示したいなら、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)という資格があります。累計受験者数は5,401,484名(2026年3月31日時点)です。ただし、上の求人は資格を必須にしていません。
営業の経験が活きるのはどこ?
活きるのは、営業が事務に「何を頼みたいか」を知っていることです。営業事務は、営業が売ることに集中できるように裏で支える仕事なので、頼む側にいた人は先回りして準備ができます。
渋谷区の求人票に書いてある業務と、営業の経験を並べます。
| 求人票の業務 | 営業で身についていること |
|---|---|
| 取引先との電話・メール応対 | 取引先が何に困って電話してくるかを知っている |
| 販売集計・データ分析 | 売上や目標の数字を毎月追ってきた |
| Excel・Word・PowerPointでの資料作成 | 見積書や提案書を自分で作ってきた |
自分の経験は「営業のとき事務に頼んでいたこと」から書き出すと、面接でもそのまま話せます。
見本(数字は例)頼む側だった場面 → 事務側で先回りできること
- 夕方に「明日の訪問用の見積書を3社分」と頼んでいた → 朝のうちに訪問予定を見て、見積書のひな形を先に用意する
- 月末に「今月の売上をまとめて」と頼んでいた → 締めの3日前に途中の数字を出しておく
- 取引先から「納期はいつ?」と聞かれて事務に確認していた → 出荷の状況を一覧にして、営業が外出中でも答えられるようにする
給料は下がる?どう比べればいい?
入社時の給与は、求人票の提示額で分かります。宮崎の営業事務の求人なら、基本給174,000〜225,000円です。この基本給を、いまの給与明細の基本給と比べます。
比べ方を間違えると、何で下がるのかが見えなくなります。
見本(数字は例)明細と求人票の比べ方
- いまの給与明細: 基本給22万円+営業手当3万円+残業代5万円=総支給30万円
- 応募する求人票: 月給24万円(固定残業代3万円を含む)
悪い比べ方: 明細の総支給30万円と、求人の基本給21万円を比べる → 9万円下がるように見える
良い比べ方: 明細の「基本給+手当(残業代を除く)」25万円と、求人の「基本給+手当(固定残業代を除く)」21万円を比べる → 差は4万円
月の総額では30万円→24万円で6万円減ります。固定の部分の差(4万円)と、残業代がどれだけ減るか(2万円)に分けて見ます。
そのうえで、長く続けたときの相場を見るのが下の表です。これは同じ年代でその仕事をしている人の相場です。未経験で入った人の給与ではありません。
令和7年の賃金構造基本統計調査(男女計・企業規模10人以上・一般労働者)で、25~29歳の所定内給与額(残業代や賞与を除いた月の給与)を並べました。
| 職業 | 25~29歳の所定内給与額 |
|---|---|
| 営業・販売事務従事者 | 274.3千円 |
| 総合事務員 | 279.6千円 |
| 会計事務従事者 | 261.1千円 |
| その他の営業職業従事者 | 313.6千円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) | 295.8千円 |
| 自動車営業職業従事者 | 286.9千円 |
| 販売店員 | 249.8千円 |
この表から分かることは2つです。
- いま営業・販売事務の仕事をしている同年代の平均は、販売店員の平均より高く、多くの営業職の平均より低い位置にある
- 年齢を問わない平均でも、営業・販売事務従事者の所定内給与額は327.8千円、その他の営業職業従事者は399千円
これは在職者どうしの比較で、移った後の給与ではありません。移った後の給与は、応募する求人票の提示額を、いまの自分の給与と比べて確かめます。
営業事務以外の職種も、求人倍率と20代の給与で並べて比べたい人は『未経験転職でおすすめの職種は?』を見てください。
自分は営業事務に向いている?
次のうち2つ以上当てはまるなら、営業事務は候補に入れていい選択肢です。
- 限界の理由が、ノルマ・詰め・断られ続けることにある
- 取引先とのやり取りや、数字の集計は苦にならなかった
- 前に出るより、誰かが動きやすいように整えるほうが好き
- 応募する求人票の基本給+手当(固定残業代を除く)が、いまの給与明細の同じ部分と大きく変わらない(求人票の月給には固定残業代が入っていることがあります。明細の総支給額と求人票の基本給をそのまま比べると、何で下がるのかが見えなくなります)
見本(数字は例)数え方
営業3年の人の場合: 1つ目○・2つ目○・3つ目×・4つ目△(固定の部分で月4万円、残業代を含めた総額で月6万円下がる)→ ○が2つなので候補に入れる。ただし4つ目が△なので、給与の差が小さい求人から先に開く
逆に、30代後半〜40代で年収を大きく上げたいのが一番の目的なら、営業事務だけに絞るのは早いです。表のとおり、いま営業・販売事務の仕事をしている人の平均は営業職より低い位置にあります。
ノルマの詰めからは離れたい、でも稼ぐ道は残したい。そういう人は、営業の経験で応募できる別の職種もあります。『カスタマーサクセスに未経験で転職できる?営業経験で応募できる求人』で、求人の見分け方をまとめています。
志望動機はどう書く?
書くのは「営業の経験が、相手の会社の営業事務で何に使えるか」の1行です。未経験の応募で書類が止まるのは、「なぜ営業事務なのか」が読めないときです。
「ノルマがつらいから」は本音でも、書類には書きません。下の型の〈 〉に、自分が本当にやってきたことだけを入れます。
営業として〈取引先の問い合わせ・見積もり・数字の集計〉を担当してきました。頼む側だった経験を活かし、営業が売ることに集中できる準備を先回りして整えたいと考えています。
コツは、求人票の業務の欄と同じ言葉を使うことです。業務の欄に「取引先との電話・メール応対」「販売集計・データ分析」と書いてあれば、その言葉をそのまま使えます。
同じ経験でも、書き方でこれだけ変わります。営業と販売の見本を1人ずつ置きます。
見本(数字は例)営業3年・法人向けの事務用品の営業
悪い例
営業の経験を活かして、営業の方をサポートしたいと考え志望しました。
足りないもの: 何を担当してきたか、相手の求人のどの業務に使えるかが無い。誰でも書ける文になっている
良い例
法人営業として3年、取引先の問い合わせ対応と見積書の作成、月末の売上の集計を担当してきました。御社の業務にある「取引先との電話・メール応対」「販売集計・データ分析」で、頼む側だった経験を活かし、営業が売ることに集中できる準備を先回りして整えたいと考えています。
足したもの: 担当してきた業務3つ、求人票の業務の言葉、頼む側だったから先回りできるという理由
見本(数字は例)販売4年・アパレル店の店員
悪い例
接客で培ったコミュニケーション力を活かし、事務の仕事に挑戦したいです。
足りないもの: 「コミュニケーション力」が何を指すか分からない。事務の業務とのつながりが無い
良い例
アパレル店で4年、来店客の接客に加えて、毎日の売上日報の作成と在庫の発注を担当してきました。御社の業務にある「販売集計・データ分析」では、毎日の売上を数字で締めてきた経験を活かし、営業の方が数字をすぐ確認できる形に整えたいと考えています。
足したもの: 接客以外にやってきた事務に近い仕事、求人票の業務の言葉、その経験で何ができるか
応募するのは、必須条件を満たしている求人だけです。
今日からやること
今日できることは次の3つです。
- 求人サイトで「営業事務」と「事務未経験歓迎」「営業からのキャリアチェンジ」を組み合わせて検索し、3件開く
- 開いた求人の「必須条件」の行と、給与の欄の固定残業代を確認する。必須が経験なら、その経験が自分にあるかを確かめる。無ければ、必須がパソコン操作だけの求人に絞る
- 志望動機の1行を、その求人票の業務の言葉で書いてみる
年収を上げる目的なら営業・販売事務は合わないこともあります。営業職の求人も並べて見たいときに、どのエージェントに相談すればいいかは『おすすめの転職エージェント4社を比較【2026年】』にまとめています。
